霧絵ミルイと物語の神隠し

作者 宵待なつこ

幻想的でありながら、人の心をリアルに描いた力作

  • ★★★ Excellent!!!

 主人公の少年と、霧絵ミルイという不思議な魅力を持った同級生の少女の物語です。
 彼らの関係を表す言葉は難しいです。初め、ミルイは「運命の人」と言いますが、途中で否定しますし、主人公もまた冒頭で否定しています。
 けれど、やはり彼らは「運命の人」という関係だったのではないかと、物語を最後まで読んだ私は思います。

 将来のことを具体的に決めなければならない、高校3年生の6月。「描いた物語を現実にするチカラ」を持ったミルイは、そのチカラの効果を実験するために主人公を巻き込みます。
 そんなファンタジックで一風変わったできごとからスタートするのですが、主人公たちは現実を見つめ、悩み考えていくことになります。
 直面しなければならない現実を突きつけられ、自分の力で叶えることが可能なものと、そうでないものの違いに苦しむという、誰もが持つ普遍の悩みと、どうしても抱いてしまう黒く醜い心の描写は圧巻です。

 長編ですが、読み終えた時の満足感と達成感は格別です。
 読書の秋に、どっしりと構えて読んでみるのはいかがでしょうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

その他のおすすめレビュー

★★★ Excellent!!!

この小説を35文字で??難しいっすよ。なんとか衝撃的な謳い文句を書いてはみたけども、もっと色々言いたい。

まずは描写が凄い。心理描写。情景描写。人物描写。
これを読み易くってのは、とても難しいと思… 続きを読む

月ノ瀬 静流さんの他のおすすめレビュー 198