生きるための対価は、"求められる僕"であること

"おめでとう、俺は美少女に進化した"本編読了後の方が楽しめると思います。本編のネタバレをいくつか含みます。
家庭環境の壮絶さに目を向けたくなりますが、これはきっとどの家庭にも起こりうるテーマを主軸にしている物語です。
子は大なり小なり"親に求められている自分"をどこかで演じるもの。その理想と実力のギャップを埋められてしまったが故の人生が今作の主人公の物語だと、私は考えています。悲劇とレッテルを貼るのは、きっと彼に失礼なこと。

もちろん、劇中の別離と喪失は除きますが……彼の人生は彼が"選んで決めた"もの。だからこそ、"ろくでなし"を自称する彼がとても魅力的に見えるのでしょう。彼の選んだこの人生の行く末に、願わくば大団円のあらんことを。

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