静かに、淡々と、人の好奇心を抉り取る

本編未読です。見終わった後、本編を読んでおけば良かったと後悔しました。

物語としてはスピンオフの体裁を取っています。そのため、本編未読で読んだ場合、視点人物の篠崎一真に興味を抱けるか否かで評価が分かれるところかと思います。

私の場合、まるで人の人生を覗き見るような感覚でサクサクと読み進めることができました。

一真自身は確かに確固たるろくでなしですが、相当に優しい人物で、その優しさ故にろくでなしになってしまった顛末が語られます。

優しく、器用で、人の機嫌を伺うのも得意(共感し、おもんばかるのが得意というわけではないことに注意)。故にある程度の危機も破綻無く立ち回れてしまう。それが彼をろくでなしたらしめてしまったと感じました。

私自身は彼とは絶対に友達になれないと思いますが、それでも彼の『この先』がとても気になってしまうのは、彼の人としての魅力をこの作品が余すことなく私に伝えてくれたからなのでしょう。

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