概要
その一言が、僕とかぐら子さんの出会いだったんだ。
とある田舎の港町に住んでいる高校生の〝僕〟は、ひょんなことから謎の女性かぐら子さんのカフェでアルバイトをするようになる。
しかしそこはどうやら普通のカフェではないようで――。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!そこは蛤の夢のような僕が、焦点を結べた場所だった。
田舎の海が嫌いな男子高校生の主人公は、無味乾燥な毎日を過ごしていた。だから、来たくもない海くらいしか、居場所が見つからない。
蜃気楼が現れたその日、主人公はいつもの海辺で、カフェを開くという一人の女性と出会う。女性もまた、居場所がないらしいのだが、のらりくらりと詳しいことははぐらかされてしまう。そして主人公は半ば強引に、女性が経営するカフェのアルバイトとして働くことになる。
しかし、その海辺のカフェにやってくるのは、夜を住処にしている妖たちだけだった。様々な妖たちを接客する主人公は、女性にある質問をする。
とても読みやすい文章で、それでも主人公が抱える鬱屈した感情や、女性の不思議な…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ちょっとしたサプライズを妖怪に。
タイトル通りの、現代あやかし物語ですが、陰湿さやおどろおどろしさは無く、ライトな感じです。かといって某◯夜叉みたいなギャグでもなく、物語シリーズに近いのですが、あそこまで読む人を選ばないと感じました。
主人公の青年は、その年代にありがちな他者との境界を作りたがる病(?)の真っ只中で、その設定も物語の不思議さと相まっています。
かといって終始、幻想的な雰囲気で彩られている訳ではなく、クラスメイトのキャラクターを通して、しっかりと現実と幻想の書き分けがなされており、読後に更なる興味と安心感を覚えます。
カフェの主人が語る、あやかしと現世との関わり方が、実に飄々としていて好みでした。
短編…続きを読む - ★★★ Excellent!!!明るくポップな雰囲気だけど、しっかり妖怪の物語!
海辺でカフェを開いているミステリアスな女性『かぐら子』さん。
そのカフェにアルバイトに来ている僕。
オシャレな店だけど田舎には不似合いで客も来ないんだけど、カフェには実は秘密があって……
短編なのであらすじはこの辺にして。
この設定だけでも魅力的ですが、物語の中にはさらに魅力がいっぱいです。
淡々としながらも惹きつける語り口、目の前に浮かび上がるような風景描写、そしてなんといっても魅力的なキャラクター達!
短い中に長編を読んだような濃密さがあるのですが、本当に読みやすいんです。
そして昼と夜との世界とのギャップがまた素晴らしいんです。
そして描かれた世界観が深くてなんとも魅力的なんです。…続きを読む