恐怖劇場の幕が開きます。背を押しつけ、ひじ掛けはしっかり握りますぜ!

いったい、だれが、いつ見ている夢なのでしょか。

読み始めには気づきません。
妖しげな霧が、足元から緩やかに這い上がってきていることに。
物語の中盤にあたりで、ようやく気づきます。
この物語からたちこめてくる灰色の霧に。

動くのは両目だけ。そして灰色であったはずの霧に、赤色が湧きだしグラデーションを描きだします。
いよいよ物語は、終盤に差し掛かってきます。

そして、ラストシーン!

いったい、だれが語っている物語なのでしょうか。

「わたし」ですか?

でも「わたし」って……

もう一度読み返してください。ほら、そうでしょう。

「わたし」って――怖い!

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