お風呂よりもあったかい石鹸のおはなし。
「いつまでもにこちゃんでいてね」その言葉にどれだけの想いがこめられていたのか。妹なりの精一杯の感謝の気持ちに涙が溢れました。
「眼科医」を読む前の試読のつもりで本作品をよみましたが、失礼いたしました。医療従事者ゆえですかね、優しさに溢れた作品です。こう言う方が世の中には多いのでしょう。社会保障を充実させるために税金を納めなくちゃと思いました。別に脱税はしてませんよ。サラリーマンなので、税務署にはガラス張りです。短編としても、良く出来ていると思いました。短編にはMAX2つが信条なんですが、星3つ付けました。
ずっと幼い姉妹の話だと思い、読んでいましたが、途中から思わぬ展開に。ほのぼの一色な空気が一変して、複雑な思いを抱きながら読んでいきました。どうしようもないことで、誰が悪いことでもなくて、どうしたから正解でもなく。ただ溢れる家族愛だけが、確かなものだと思いました。ぜひ読んで欲しい作品です。
姉妹の入浴のひとときを切り取った物語。何気ないシーンが、読み進めるにつれ大きな深みを増していきます。それぞれの道を進む分岐点に立つ姉の思い。一緒に入浴する日々を過ごしてきた妹の、姉への精一杯の感謝。妹の澄み切った感謝の思いが、静かに深く読む者の心に染み込みます。現実に向き合う辛さや切なさ。その中に時折散りばめられた、キラキラと輝く一瞬。そのような場面を優しく掬い上げた、深みのある物語です。
石鹸と共に疑問も溶ける。
体がうまく洗えない妹と、一緒にお風呂に入るお姉ちゃんのお話です。最初はほのぼの系かと思いましたが、ある仕掛けとともに、色々なこと、色々な感情があかされていき、とても深いお話になっています。そして『にこちゃん』の使い方が良くて、ふわりと感動できました。ちょっと切なくて、優しい気持ちになる掌編です。
最初はよくある姉妹のお話かな、と思って……いやしかし、きっとなにか仕掛けがあるんだろうな、とも考えつつ読み進めると、ありました。なるほど、そういう話か、と思いました。真実が分かると、姉の想いと妹の想いがじんわりと伝わってくる。良短編です。
読んでいる間中、ずっとお風呂の香りを思い出していました。しっとりと切なく、いい意味で裏切られる作品です。
石鹸1つが描き出す人間模様、心と心のふれあい、どれをとってもリアルですね。ストーリーに奥行きがあるので、文字数の数倍の濃密さを感じました。
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