一人の少女がもがきつづける、幼馴染という存在をめぐる物語

これは男性には書けない話なんだと思いました。
好きな気持ちと表裏一体の嫉妬心。そこから立ち上る自分という存在の嫌な面に苦しめられる。それはなんともみっともなくて、じたばたとしていて、なんとなく自棄になりそうで、という微妙な心理を巧みに描き切っていると思います。
これは登場人物すべてにいえることで、みんながもがきながら幸せになりたいと願っているように感じられました。そういう意味でこれは普通の恋愛小説というよりも、どこか文学的なテーマを感じさせるものだったと思います。
が、話は面白く、読みやすいので、気軽に読めました。
読後感もとても素晴らしいものでした。

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