第6話 ストライキ

「イサキ、ちょっとまずい」


「なに?」


 いつも冷静でわたしの補佐役であるエルセン。中国人なのに60年代風のセンスと細身の彼が珍しく慌てている。

 珍しく、というか初めて見た。


「荷役ができない」


「なんで」


「ストライキだ」


 わたしは、ほっとする。


「じゃあ、どこも同じじゃない。別にうちだけが引け目感じなくていい」


「ちがうよ」


「?」


「日華も、Trans Ship も、EVERすら保険かけてた。ストライキやるような業者はダメだってこれ幸いに新規のSalvoに荷役業者を切り替えたんだ」


「じゃあ」


「うちだけ荷役できない。うちははじかれた、ってことだ」


「何か、したかな?」


「いや思い当たらない。確かにうちはフィーをあいつらの1%~2%くぐってやってきたから疎んじられてはいたろうが・・・」


「タバコ、吸う?」

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