第10話 無言の交渉

 3日間、自分たちで荷役をやった。

 仕事はこれだけではないので当然しわ寄せがくる。


「イサキ、みんなもう限界だぞ」


 わたしは淡々と皆に連絡事項として伝えた。


「みんな、色々骨折りしてくれてありがとう。明日からSalvoはうちの荷役も引き受けてくれることになったから」


 全員、きょとん、とする。エルセンが代表して口を開く。


「どうやって交渉したんだ」


「交渉はしてない。ただ、日華やTransたちがずっと受注くれるとは限らないよ、って言っただけ。あ、それと」


「ん?」


「”ラッセル呼ぼうか”、って言った」



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