僕はピーマンが食べられない 6

 ――何かがおかしい。

 夏休みにはなっていないので夏休みを延々とループしているわけじゃないというのははっきり理解できていた。

 だのに何かがおかしい。

 いつも通りからいつもが欠けたような感覚。なのに“通り”にはならないという不思議さを兼ね備えた違和感が僕を襲っていた。

 なんなんだ? この感じ。

 いつもとは違うという違和感と、いつもと同じ睡魔に襲われながら僕は登校した。

「今日はなんか全校集会があるらしいよ」

 朝一番教室へと移動した僕に、開口一番、芥子菜茜がそんなことを言った。

 そういう情報をいち早く入手する自称地獄耳の芥子菜茜の情報には間違いがない。あまりの正確さにクラスメイトの間では、もしかしてあいつ未来人なんじゃないのかという噂が立っている。

 しかし僕だけは芥子菜茜は超能力者だと密かに思っていた。つまり予知能力者ってことだ。その根拠は京都地検あたりの主婦の勘とどっちか鋭いかすら分かりもしない超能力者の勘だったけれど。

 なんにしろ、芥子菜茜がそう言ったのだ。全校集会が行われるのは間違いない。

 今日の一限目が週に一度しかないとはいえ苦手な英語だったので幸運だった。工業科だと通常の五教科は優先順位が低く、理科も電気基礎でカバーするため生物がちょいちょいある程度だった。

 しばらくしてアナウンスが入り、僕たちは食堂へと向かう。

 他校なら全校集会は講堂で行われると思うけれど、八手高校は食堂に面積を取りすぎたため講堂に全校生徒が納まりきらない。

 ちなみに部活動を考慮して四つの体育館と二つの武道館は存在してけれど、それは余談中の余談。

 ということで専ら全校集会は食堂で行われる。まあ全生徒が収納できるんだから当たり前だろう。

 そうして全校集会は行われた。

 その驚くべき内容は……次週に続く! 

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