時と歴史と人の思いと。カタルシスを求めるなら!
- ★★★ Excellent!!!
大航海時代のインディオにまつわる物語――いったいどんなお話なんだろう――と読み始め、冒頭で描かれる木製の懐中時計の重厚な存在感に触れてしまったが最後、一気読みしました。
異邦人のフアンの目で語られる「Ⅰ フアン・アレナスの章」では紀行文や冒険物語のようなドキドキに、「Ⅱ フェルナンド・ヒロンの章」ではファンタジーのワクワクに夢中になって、時間を忘れて没頭しました。
このドキドキとワクワクを、これからお読みになるすべての方に味わってほしいから、これ以上は書きたくない!
そんなふうに、内容を語るのを憚ってしまうほど、驚きの結末と、そこに至るまでの過程を余すことなく楽しめるミステリーでもあります。
SFの要素がありますが、雄大な南の島の情景と、細部まで描かれた人の暮らしが、かえって大海に浮かぶ孤島特有の神話や民話を彷彿させます。それくらい、地に足がしっかりついた重厚なストーリー!
フアンとリカルドの明るさと、それとは対照的なフェルナンド…そして、時間の偉大さと、その時間を刻む時計という存在の異質さに、読み終わった今も、ひしひしと感動を味わっています。
ブラボー!