明日パパナッシュ食べよう。

純文学。
ミクロな家族愛を、国際結婚のしがらみと国政事情にからめて書ききった意欲作だと感じました。

作者様がルーマニア大好き過ぎて凄いな、というのがまず一つ。
実際に街並みを見知っていないと書けない描写が多々あります。野犬だらけの交通事情とか、きっと実体験なのでしょう。

そして二つ、ルーマニアの歴史にも触れ、主人公の母親と祖母との別離を、独裁政権時代の摩擦に関連付けて悲壮感を出しているのも巧いです。
ひいてはそれが、祖母と、孫である主人公との心の距離にもからんでいて、身につまされるものがありました。

早逝した母親の年齢を超えた主人公が、意を決して祖母に会うという導入部からしてドラマチック。
両者の軋轢が氷解するまでを描いた短い物語ですが、そこには確かに、ぬくもりを感じますした。

ただ、カクヨムでは受けないだろうなぁ…。

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