リズミカルな文章で魅せる、和風あやかし騒動記。

宝刀『古骨光月(ここつこうげつ)』を護り伝える師範代・桜良兵乃進(さくらひょうのしん)は、双子の美しい姉・綺乃とともに道場を切り盛りしていた。教え子の子どもたちや、定町廻の横井一麿、居候の絵描き・恋町春日、謎のピンク忍者・佐七、九十九らに囲まれた、賑やかな日々。ある日、一麿が「ご禁制」の黄表紙本を持ってきたところから、兵乃進の災難は始まった――。


そのまま囃子歌になりそうなほどリズミカルな文章で、軽快に読めます。エロやピンクなどといった現代用語が頻出していても、基本にしっかりとした時代考証と文章力がうかがえ、安心感がありました。賑やかで弾むような会話と、時に現れる人情、妖艶な描写にうならされます。
「恋愛コンテスト落選」とわざわざ書いていらっしゃいますが、コメディ部門があれば、と思いました。
楽しい和風あやかし譚です。

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