仲良くなりたい人
7月31日。明日は出校日だ。ちょっとめんどくさいけど、沙良に会えると思って頑張ろう……!
「よし、明日の準備オッケー。まだ早いけど、寝ようかな」
支度を終えて、寝る準備を始める。そのとき、電話がかかってきた。
「誰だろう?沙良かなぁ」
疑問に思いながら画面を見ると、
「はい、もしもし?」
「もしもし、吉野さん?」
「山本さん?どうしたの?」
私のことを「吉野さん」と苗字で呼ぶ人は珍しい――山本さんはその一人だ。
「ちょ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……吉野さんって上之園さん、上之園沙良さんと仲いいよね? わ、私、仲良くなりたい人が居るんだけど、どうすればいいかな……? 吉野さんは、上之園さんとどうやって仲良くなったの?」
私と沙良がそんなに仲がいいって、みんなに思われていたのか!? わざわざ私に聞いてくるなんて……それにしても、山本さんが仲良くなりたい人が居るとは。失礼ながら、私の勝手なイメージでは、山本さんは孤高を好む人だ。その認識を改めなければ。
「私と沙良は幼なじみだよ。中1からの友達」
もう今は「友達」ではないけど……それは秘密。
「お、幼なじみ? どうやって仲良くなったか、きっかけとかって覚えてない?」
きっかけか……思い出そうとしても、思い出せない。何かあったような気がするのに……
「ごめん、覚えてないや……」
「そ、そっか。わかった」
「あ、でも仲良くなりたい人が居るんでしょ? 仲良くなる方法ね……あ、そうだ。一緒にご飯を食べるのはどうかな?」
「い、一緒にご飯?それは難しいね……」
「たしかに誘うのは難しいかもしれないけど、頑張ってみて!私の経験上、一緒にご飯をたべることが仲良くなる一番の近道だよ!」
「わ、わかった。頑張ってみるよ。ありがとう、吉野さん」
「ねぇ、あのさ……山本さんのこと、明海さんって名前で呼んでいい? 私のことも、優香って呼んでいいから」
「うん、いいよ。じゃあ、また明日、優香さん」
「また明日」
ふぅ。相談事をされるのには慣れてないなぁ。でも、山本さん――じゃなくて明海さんと少し仲良くなれた気がする。こういうのも悪くないな……
時計を見ると、22時30分になっていた。もういい時間だ。寝よう……
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