もうすぐ体育祭
「優香ー、学食いこー」
4時間目が終わると同時に、沙良が私の席に寄ってきた。
「いいよ。行こ―」
「うーん、何にしようかなぁ。今日は味噌カツの日かー……味噌カツにするか、カレーにするか、迷うなぁ」
「私は味噌カツセットにしよっと」
「あ、優香待ってよ~」
沙良が悩んでいるのを尻目に、さっさと食券を買って席を確保し、列に並ぶ。席は割と混んでいて、あと数席といったところだ。
「はい、味噌カツセットね~」
「ありがとうございまーす」
私の味噌カツセットを受け取って、取っておいた席に向かう。すると、そこに明海ちゃんと彩が居た。
「やー、優香。我もこの席を借りてよいか? 我々は自身の席を支配することができなかったのだ」
「ゆ、優香ちゃん。こ、ここまだ人来る……?」
「いや、沙良だけだから大丈夫、一緒に食べよ。……彩、中二キャラ疲れないの?」
「疲れる」
というわけで、明海ちゃんと彩とも一緒に食べることになった。
しばらくすると、カレーを持った沙良がやってきた。
「おまたせ~……あ、山本さんと彩ちゃん」
簡単に状況を説明すると、沙良は納得したように
「なるほど、席が取れなかったのね。相席よろしくぅ」
と、チャラく挨拶した。
「もうすぐ体育祭だね。みんな何か種目出るの?」
沙良が話題を振った。そういえば、もう体育祭か……体育祭は憂鬱だ。なぜなら私は運動が苦手だから!
「わ、私は……ぜ、全員参加の徒競走だけ。いやだなぁ……彩ちゃんは運動得意だよね」
「まぁね! あたしは……我はバトンを繋ぎし種目の選ばれし者ぞ」
明海ちゃんも運動は苦手なようだ。それに対して、彩は中学校の頃からかなり運動ができる方だ。
「明海ちゃん、私も運動苦手だから徒競走だけだよ。仲間だね!」
「う、うん……優香ちゃん」
若干引かれてる気がするぞ。
「何かに出るのはこの中じゃ私と彩ちゃんだけかぁ……私はなんか、障害物競走みたいなやつに出るよ」
沙良は障害物競走に出るのか。よし、その時になったら応援してやろう。
「よーし、じゃあ明海ちゃん。私たちは彩アンド沙良応援団ってことで」
「え、ええ? な、何するの?」
「いや、特に決めてないけど、普通に応援するだけ」
「あ、ああ、なんだ。て、てっきり本当の応援団みたいなことをするのかと……」
「勝手にやったら怒られそう。……ごちそうさま」
食べ終わってしまった。体育祭か……憂鬱だけどしょうがない。出来る限り楽しめるように努めよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます