相賀赫真は、二流を止められない。

いつまでもいつまでも、この世界観に耽溺していたい。
読み終わる前から、まだ物語が動き始めた序盤のうちから、そんな思考が渦巻いた。

浪漫に溢れた独特の世界観、人獣たちの暗躍する息づかいが聞こえてきそうな、実に生の香り漂う世界。
物語の運びはもとより、ただキャラクターたちのやり取りを読んでいるだけでとても楽しく心地よい。

この心地よさをレビューで表現するのに現在大変戸惑っているのだけれども、1つだけ言える。

これは、とある層は好きで好きでたまらない物語だ。
たぶん、惚けて魂抜かれるやつ。

そんな風に腰砕けになりかねない麻薬のような物語だが、少しでも気になったのならば絶対に読んでみたほうがいい。
牙や爪は現代には無用の長物に過ぎないかもしれないけれど、退屈しない二流な日常を彩ってはくれるのだから。

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