↑などと書きましたが、役に立つどころの話では! ない!!
クズ兄貴をぶん殴って家を出るところから始まる、痛快ダンジョン冒険譚。
主人公の職業は、ファンタジーの世界によくある剣士や魔法使いの類ではなく、『トラップクラッシャー』。
ほほう? 罠とな??
と思って読み進めていくと、これがまた面白い。
冒頭にも書きましたが役に立つどころじゃありません。
トラップを甘く見たら死にます。
あっさり死にます。
そこで、二度と彼らの姿を見ることはなかった……。とならないように活躍するのが、主人公・ジッツの所属するトラップクラッシャーやトラップサーチャーたちなのです。
長々と書きましたが、うん、読んでいただくのが一番早い!
王道でありながら、一風変わった職業や設定に感嘆しているうち、気付けば主人公たちの活躍に夢中になって快哉をあげたくなっているはず。
これを読まずにいるのは勿体ない!
ギーオかわいいよギーオ。
ファンタジーには多種多様な形がある。
剣士や魔法使いが主役のもの。お姫さまと英雄、竜の物語。
盗賊が主人公だって、ないわけじゃない。
しかし、罠師が主役の小説とは、これいかに!
トラップクラッシャーは、ダンジョンの罠を無力化したり回避するすべに優れた職業だ。
主人公はそんな稀有な冒険者で、ちょっとした事柄から運命の出会いを果たす。
何に出会うのか、それがひとか、そうでないのかは、ぜひ本作を読んで確かめてほしい。
まるでウェザリングされたような臨場感あふれる筆致。
練りに練られた人間ドラマに権力模様。
そして、痛快な冒険。
これは旧き善き、そして新しい冒険者の物語である。
一見の価値あり、ぜひとも速やかに、目を通されたし!
実家で虐げられていたジッツは、故郷を飛び出し、冒険の旅に出る。王都でトラップクラッシャーとなり、それなりに充実した生活をしていた。そこに現れたのがクレムガルドの姫カーナとその護衛モネネ。カーナの依頼を受け、ジッツは新しい冒険に出るのであるが、そこには思わぬ世界が待ち受けていた……。
王道ファンタジーで、読み応えのある作品。設定は重厚で、世界の広がりを感じさせる。
キャラもよい。主人公のジッツは魅力的で、それがトラップクラッシャーという一風変わった仕事によって際立つ形になっている。カーナやモネネ、さらに新たなに加わる仲間たちでユニークで、この先の冒険にどのようにかかわってくるのか楽しみ。
まだ物語は途中であるが、ジッツとその仲間たちがどういった活躍を見せるのか。その結果、どこにたどり着くのか。楽しみでならない。