第15話 大層な過去をお持ちのようで…

 ある日の部活の休憩時間。ふと気になったことがあったので、私は新入部員の高橋君に聞きました。


「高橋君ってさ、高校の時は何やってたの?」


 これは聞かなきゃいけない事柄の最重要項目だと思うのです。だって師匠がかの部活に所属していたのですから、当然後継者であり弟子であり、後輩の彼に期待しないわけがありません。


 彼が入部してきたころに中学3年間やっていたというのは聞いていました。しかし空白の3年間については私まだ聞いておりません。この時点で”ふと気になっていたこと”ではなくなってしまっているのですが、そこはまあご愛敬です。


「自分の高校の時ですか?」


「そう」


「卓球部に所属してましたよ~」


 これまた意外な回答。テニス部→卓球部→テニス部とは。

 なぜに卓球部を挟んだのかものすごくにおいますが、ここはそこを気づかれないように抑えて、深呼吸してから聞きましょう。

すぅーはぁー


「なんで卓球部?」


 よし普通に言えた。すると高橋君も少し難しい顔をして答えてくれます。


「うーん何でと言われても……テニス部はあったんですけど……やる気の問題?」


 え、なんでそこで疑問形なの?まあそこは彼の気分だったんでしょうね。でもここまではではまだ後継者足りうるほどの話ではありません。とりあえず掘り下げていくことにしましょう。


「高校強かったの?」


「どうなんですかね~部員僕一人しかいなかったですし。」


「ぶほっ!?」


「先輩大丈夫ですかっ!?」


 思わず吹き出してしまった私を本気で心配してくれる高橋君を手で大丈夫と振りながら抑えます。


 うーん破壊力しかなかった。やはり完璧な過去を持っていましたね高橋君は。高校で卓球部に所属していたけど、彼以外の部員は存在しなかったと。そんなことってありえます?


「部員一人だと練習とかどうしてたの?」


「月一回顧問とラリーですかね」


「ぶっはっ!?」


「ちょっ先輩!鼻から水が!?」


反則すぎるでしょ高橋君。もう後継者としての適性値が測りきれないレベルまでに及んでますよ。もしかしたらすでに内田君との立場が逆転してるかもしれません。


「ちなみに内田君はインターハイ選手だったけど部員は何人くらいいたの?」


「うーん、部員は3人くらいいたけど……そもそもインターハイまでに選手が10人いなかったし」


「……」


 もうこの人たち狙ってきてるとしか思えないんですけど。

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テニス部の内田君 音近 @akanecon

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