第二章 二年生編
第13話 恥ずかしがり屋
さて、前話に続き「がり屋シリーズ」第二弾です。前回はうさぎな内田くんの話でしたが、今回はピュアっピュアな内田くんの話になります。
やはり恥ずかしがり屋といえば、おどおどしていて、非常に可愛らしいといったイメージを勝手に持っている私ですが、似たようなもので巷で流行っている「コミュ障」なんて言葉もありますよね。何が違うのかを私なりの解釈を一言で表すなら「可愛いかそうでないか」だと思うのです。
よくコミュ障と自覚していてもそれが可愛ければ恥ずかしがり屋になるんですよ。そうであって欲しいのです!
これは私たちが大学2年に上がって、新入生を部活に確保するために入学式に駆り出された時の話。
「テニス部でーす!」
「そこの君興味ない!?」
「パンフレットだけでも貰ってー!」
新入生の入学式には多くの部活やサークルが勧誘をしに来ます。当然私たちテニス部も行きました。
入学式が始まり、外ではブースをつくって待機します。
いよいよ入学式が終わる頃、出入口に多くの勧誘陣が集まり、あっという間に凄い盛り上がりに。私と内田君も参加したのですが、人混みが苦手な私たちは早々にそのバーゲンセールでもやっているかのようなお祭り騒ぎの中を抜け出し、ブース待機組に入りました。
「内田君しりとりしよっか」
「なんでだよ!暇じゃないんだから。………しりとり」
「あ、やるんだ リンゴ」
「ゴリラ」
そうこうしているうちにヒートアップし、
「カルガモ!」
「もー、モンブラン!あっ」
「はい、内田くんの負けー」
なんともまあベタな負け方をする内田君ですが、それもまた内田君のいいところ。
そんな事で盛り上がっていると、
「すみませぇん」
新入生の女の子3人組がやって来ました。ついこの間までJKやってた方々ですので、輝かしさが失われつつある我々から見れば神々しささえあるというものです。
彼女たちにパンフレットを渡し、連絡先や名前を記入してもらっていた時、私はふと内田君の方を見ました。
「………何してんの内田君」
「………」
そこには顔を隠して向こうを向いている内田君がいました。しかもちょっと顔が赤い。
「……もしかして、恥ずかしいの?」
「………」
何も言わない内田君。最早その沈黙は肯定としか捉えられません。
結局終始無言を貫いていた内田君ですが、新入生の男の子が来ると、さっきの沈黙が嘘だったかのように話しかけていました。次に来た女の子にもやはり沈黙。もう確信犯ですよ内田君……。
いよいよ先輩になる私たちですが、嬉しい半面、少し不安になってしまいます。本当に内田君大丈夫でしょうか。
因みに私も基本的には人見知りですので、人のことは言えないんですけどね。一緒に頑張ろう内田君。
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