第6話 必殺技
皆さんも一度くらいは考えたことあるのではないでしょうか。え?何をって必殺技ですよ。必殺技。人によっては暗黒に葬りたい黒歴史と化していたりとかすると思いますけど、ご安心を。私、いまだに必殺技に夢見ております。
内田君も同士だったので、この話題では盛り上がるんですよ。最初こそ「アニメ?興味ありませんけど何か。」みたいな態度取ってたくせに、打ち解けたら「え?そんなこと言ったっけ?アニメ超大好き!」って言うまでに豹変してるのだから、むしろ怖いくらいです。
さて、話は私がその話を振ったところから始まります。
「内田君って必殺技とか考えたことある?」
「あーあるある。昨日も開発したもん。」
「え!?昨日とかかなり最新情報じゃん!」
「え、見る?」
なぜか超どや顔の内田君。
「見たい見たい!」
そして超ノリノリの私。(あの頃は若かった……)
「でも被験体が必要なんだよね、ちょっとなってくれない?」
「え、いいけど痛くしないでね?」
「おっけー、じゃあ軽く……ふっ」
思いっきりこぶしを振り上げる内田君。
「え、普通にマジじゃないですか!」
思いっきり目をつむり、腕を顔の前で交差させる私。
「~~~っ……痛っ……あれ?」
なぜだか足が痛くなったので目を開けると、蹴りを入れてる内田君が目の前に。その時やはりどや顔は崩しません。
「どうよっ」
「……………………はぁ」
「これぞ昨日考案した必殺技っ『パンチ・フェイント・キック』!略してPFKだ!」
…………正直ダサかった。特にネーミングが安直すぎて。しかしどや顔を崩さない内田君に果たしてそのことが言えるだろうか。否言えない。
「す……スゴイネ!」
「フフンっだろ?」
これが精一杯の思いやりです。このとき「小学生みたい」とか「安直」なんて絶対に言ってはいけません。たとえ心の中で思ったとしても、それは心の中に留めておいてくださいね。
こうやって大人の対応を身に着けていくんだなと思いましたよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます