第4話 おっちょこちょい
さて、今回は試合の時の話をしようと思います。試合会場はなかなか遠い場所にありまして、2日続けて行われるため前日から夜行バスで赴き、宿に泊まります。
お金も結構かかるので正直嫌だなとは思いますが、私の血と汗と涙で稼いだバイト代で頑張って払います。一応お父様とお母様に頼んでみますが、まあ金額が金額なので全く良い顔をしてくれませんでした。
そんな試合会場で起こった事件のお話。
1年生は普通に雑用がメインでボールやジャグ、部旗(校章と部活名の入った旗)や救急箱といったものを試合会場まで持っていかなければなりません。この時先輩方は先に会場でアップを始めています。
そんなアップ中に膝を痛めた先輩がおりまして。優先的に救急箱を持って来るようにと内田君へメールにてそのお知らせが来たわけです。
「お、先輩から救急箱だけ先に持って来るようにメール来た。」
「じゃあ、内田君悪いけど持って行ってくれる?」
「おっけー! じゃあちょっと走っていってくる。」
そして走り出した内田君。すると後からきた友人A
「救急箱も持ってくよね?」
ん…………?
「どういうことだい、ブラザー?救急箱は内田君が持って行ったはずだが?」
エセアメリカ人よろしく友人Aに問い掛けます。友人Aは何言ってるんだろうこの人みたいな表情で
「?いやここに救急箱あるよ?」
はい、やっちゃいましたよ内田君。
「ちょいそれ貸して!」
私は大慌てで内田君を追いかけます。
しかしながら意外と足早いんですよ内田君。私も結構足早い方だと思ってたんですけど、流石インハイ選手です。(あ、関係ないか。)
私が着いた時にはもう遅かったですね。先輩が呆れながら部旗を手に持ってる内田君を注意してました。
「部旗で膝の痛みは治んないだろ、普通に考えて。」
ご尤もです先輩。今度から自分が持ってるものは確認しようね内田君。
それにしても、部旗って結構重いんですよ。それ持って走った内田君、さすが56キロ級インハイ選手。
後でジュース奢ってあげた私、優しい。
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