これがほんとの『武勇伝』だ……最強の男・劉裕の成り上がり戦記!

丁旿という男の視点から寄奴(劉裕)がのし上がっていく様を語る物語です。
舞台は五胡十六国時代の中国なのですが、知識がなくても、荒れ放題の中国の町、北方から迫りくる強い異民族の軍団、己が腕を頼りにのし上がっていく漢民族の漢たち――男たちの熱いドラマが展開されていくのをはらはらしながら見守っているうちに読み終わってしまいます。
硬派な歴史小説!というより、青年誌に載っているハードボイルド漫画のノベライズのような雰囲気で、とても読みやすいです!

とにかく、出てくる野郎どもがみんな魅力的です。
私は特にトゥバ・ギと崔宏の主従コンビがお気に入りで、ひょっとして最後は彼らがラスボスとして立ちはだかるのでは!?と期待しているのですが――主人公の劉裕はもちろん、トゥバ・ギといい仲間たちといい、強い男たちが戦場でぶつかり合うのは圧巻ですね。
劉裕一人がいくら強くても軍隊が動けば個人の武勇が活きてこないこともあるのだ……それが悔しくもあり面白くもある。
臧熹少年の成長物語もちょっと楽しみです。この荒れ放題の時代ではたしてどんな男に育っていくのか?

地の文は基本的には丁旿のぶっきらぼうな語り口調で進んでいきますが、将軍たちの中には中国史ならでは(?)の美しい漢文体の台詞もあり、いろんな角度から楽しめます。

続きも楽しみにしています!
劉裕が龍に選ばれし覇者になるまでずっとついていきます。

(最新話3-4まで拝読してのレビューです。)

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