寄奴って男ァとんでもねェタマだったぜ──「腕」が語る成り上がり武勇伝!

劉裕という剛勇無双のゴロツキがのし上がっていく、
破天荒で痛快でスリリングな国盗り武勇伝である。
語り手である丁旿の口調が軽妙なヤクザ風なので、
劇画タッチの不良漫画みたいな「絵」が頭に浮かぶ。

丁旿ら昔馴染みの間で、劉裕は「寄奴」と呼ばれる。
2人や仲間たちは流民の家柄でろくな仕官先もなく、
そもそも彼らの町も国も荒れ放題、国と国は戦続きで
まさに弱肉強食の様相を呈している。乱世だった。

中国史において五胡十六国時代と呼ばれる頃の出来事だ。
が、年号の把握だの官制の理解だの漢名の書き取りだの、
世界史の授業で頭を悩ませたような面倒事は放り出して、
とにかく、ゴロツキの成り上がり武勇伝を楽しめばよい。

龍に食われ、丁旿と劉裕の間に不思議な縁が生まれる。
その異才は2人をどんな高みへと導いていくのだろうか。

優男風で食えない崔宏が異彩を放っていて、惹かれる。
敵が手強ければ手強いほど、展開が楽しみになるものだ。

続きも楽しみにしています。

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