ヒリヒリと焼ける青春の痛みと爽やかな潮風の物語

僅か8話2万文字強の中で繰り広げられる青い時の痛み、ひりひりと焼け付くように、それは既に完全に塞がっていた筈の、自身の若き日のかさぶたを剥がし続ける。読んでいてこんなにも痛く辛かったのは初めてだ。 同時に、自身の中にこれほどまでに まだ昇華し切れない青春の欠片が残されていたことにも 初めて気付いた。
誰もが幸せになりたいんだ、誰かを愛していたいんだ、と文面のあちこちから叫びが聞こえる気がした。 

そしてなぜこれが恋愛ジャンルではなく、現代ドラマなのかもずっと考え続けた1週間だった。 いまでも明解な答えを見出したわけではないが、今後自分が創作を続ける上で、大変重要な示唆を頂いた気がする。そもそもジャンル分け自体がナンセンスという説もあるが、もしこれが恋愛ジャンルだったら私自身の読後感はまた違ったものになり得た可能性もある。やはり さすが、である。
カクヨムでこうした作品&作者に出会えた幸福に感謝したい。

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