街コン応募作ということで拝読いたしました。
歯切れのよい文体が醸し出す軽快なテンポは、絶叫マシンをモチーフに据えたこの短編にぴったりです。僕や先生の説明を省くことで後半の意外性を引き出しているのはもちろんのこと、過剰な描写を控えて文章にスピード感を与えているのもさすがだと思いました。
先生と僕の関係性が次第に明らかになり、やがて拓けていく視界にはちょっぴり哀しい現実と、未来への確かな希望が広がっています。いずれ減速して停止するであろう絶叫マシンの最後ではなく、ピークのところでふっと幕を下ろす終わり方も素晴らしいです。
岡山は未踏の地ですが、岡山出身の友人知人は結構変わった苗字が多いので、先生の苗字も珍しいのかなあなんて思ったりしています。
最後に、繰り返しになりますが、この短さでこの完成度……!
最初、先生と呼ばれる人物と主人公の関係。
何だろう? 先生と生徒の関係なのかな、と思っていると、途中で違和感。
そして最後まで読み進めると、なるほど、となる作品です。
意外な舞台背景と、涙をそそるような真相。
なぜ先生は成人の儀にこだわるか。
それを乗り越えた者にしか与えられない感動と、主人公に新しく課せられた使命。
「だから、作るんだ。君がジンクスの一人目になれるよう、私は全力を尽くす」のセリフには、ぐっと来ました。
限られた文字数の中で、これだけのボリュームのストーリーを内包させ、且つ読者の心に響かせるのは、かなりの高いレベルの筆致のなせる技ではないかと僭越ながら思います。
私自身が街コンに参加させて頂いているのもあり、いろいろな街コン作品を読ませて頂いていますが、現時点でこれがいちばん好きかな……?
鷲羽山ハイランドを検索しました。
個人的にはスカイサイクル漕いでみたいです! 怖いでしょうけど。