雰囲気が最高に心地いい

愛夏さんの作品は、私にとって心地いい。
不幸せというか、過去に傷をもつ人が少し前を向く瞬間でスーッと閉じられる物語。
特別なことは何もなく、変化する一瞬を切り取るようにシャッターを押す。
ファインダーの中で、なかなかピントが合わず、ボヤーッとした世界が続いて、フッとピントが合った一瞬で終幕する物語。
その写真に閉じ込められた物語を読んでいる感覚になる。
私の頭には、剥がれた白いペンキの木製テーブルに置かれた古い水色のワインボトル越しに見える静かな海岸、そんな絵が浮かんでいた。

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