短編なのに、まるで映画を観終わったかのような爽快感と深い感慨をもたらしてくれる作品でした。
心に深い傷をもった二人が、お互いのことを意識しはじめた。これから恋が始まるかもしれない。でもこの二人なら、いろんなことを乗り越えていけると思う。 トラウマを抱えたまま、自分の中に閉じ込めるのではなく、互いにそれをカバーできればきっと強くなれる。そう、前向きに思える作品でした。うん、ラストが好き。
短いストーリーの中に、家族があって、友達がいて、女の子と出会って……、過去の話が深い物語を生み、読み応えのある作品でした。恋かどうかはわからないけど、僕たちは出会って、お互い共有して、何かが始まったのだと感じました。そんな始まりの物語です。
最後まで読んでそう呟きました。
クラスメイトと雪山にスキーへ出かけることになった主人公。けれど、彼の心の奥には、雪山へのある複雑な恐怖感が潜んでいて——。人の命を救うために失われた命。誰かの命と引き換えに救われた、その人の苦しみ。簡単には消えることのない深い悲しみを抱え、それでも前を向かなければならない——生きることの苦しさ、難しさを思わずにはいられません。しっかりとした重みのある、奥の深い短編です。
恋愛物というより人間ドラマ寄りで、登場人物それぞれに感情移入できました。主人公が抱えている問題は重たいですが、それが彼の芯になっているのがわかりました。恋と共に、少しずつ変わっていきますように。
タイトルどおりの内容でした。たしかに……なるほど、と私は納得してしまいました。登場人物達の背景がしっかりと想像できる無駄のない文章。スラスラと読める物語もわかりやすく、気付くとラストです。気軽に読める作品だと思いますので、一読お試し下さい。
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