その告白に耳を背けることができませんでした


とにかく読ませられてしまった。
私さんの語りの巧さと言ってもいいですが、
やはりそこに、人が持つ業(ごう)のような分からなくもない感情の背景があり、私さんのその言葉言葉はこちらへひたりと受け入れさせるものがあります。
その語りで語られる告白に関わる彼の存在が、これまたじわりと影のようにしてあり、この部分にホラーを感じる方が多いと思われる作品。
そしてその中に、奥底にある恋もしくは愛を感じるので厄介だ。ただの怖いはないでは済まないのです。純愛か、狂気か。

鳴かぬ蛍が身を焦がす――口にできない想いをある意味互いに持ち、それはいびつなれどもさてさてどうなるかの結末です。
一読は読了となること間違いなし。

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