鳴かぬ蛍が身を焦がす

作者 和久井 透夏

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Good!

登場人物の嫉妬心、
ふてぶてしさが鮮やかに描かれる、
程度の差はあれ、
どこか、『同類の二人』の
物語のように感じました。
どこか、お似合いだと
苦笑してしまうような結末。

負であるか正であるか
わかりませんが
人の心の中に確かにある
『なにか』に焦点を当てた
そんな作品に思えました。

旧家にまつわるお話しとか
そんな感じのレトロな雰囲気が
良かったです。

★★★ Excellent!!!

読者を一瞬にしてひきつけ、物語の中に没入させていくその筆力は圧倒的の一言!
ただただ楽しみながら、一気読みさせて頂きました。

主人公は裕福な名家に生まれながら、優秀な兄と美しい妹にずっとコンプレックスを抱きながら生きてきた女性。
そんな彼女と、燈吉(あきよし)という名の使用人との間にある「言葉には出さない黒い本心」のようなものがこの作品の魅力だと思います。

「鳴かぬ蛍が身を焦がす」――好きだとあからさまに言う人より、口に出して言わない人の方が心の中では深く思っているというたとえ。

このタイトルの意味にも唸らされました。

『人間を表現する』という面白さの詰まったこの作品、ぜひ、ご一読下さい! 

★★★ Excellent!!!

主人公の置かれた状況と、気持ちが変化して行く過程をとても精緻になぞっているため、主人公の大胆な行動も無理なく受け容れることが出来ます。
加えて、作品全体のトーンに、そこはかとない不気味さがあり、怖いもの見たさで最後まで一気に読んでしまいました。設定、ストーリー、語り口の全てがバランス良く作品世界を作る技量に感嘆しました。

★★★ Excellent!!!

とても恐ろしい物語です。リアルに起こりうる内容だけに、背筋が寒くなりました。
時代背景が、読んだ時点では書かれていないようですが、江戸後期から、明治、大正辺りを想像して読みました。

倫理観は、人によって違い、古い慣習などもあり、その時代の窮屈感が出ています。

燈吉は、主人公に自分と同じ匂いを感じたのでしょう。あの御菓子を貰った時に、同類を発見したのかも知れません。もしかすると、歪んだ純愛なのかもしれません。

★★★ Excellent!!!


とにかく読ませられてしまった。
私さんの語りの巧さと言ってもいいですが、
やはりそこに、人が持つ業(ごう)のような分からなくもない感情の背景があり、私さんのその言葉言葉はこちらへひたりと受け入れさせるものがあります。
その語りで語られる告白に関わる彼の存在が、これまたじわりと影のようにしてあり、この部分にホラーを感じる方が多いと思われる作品。
そしてその中に、奥底にある恋もしくは愛を感じるので厄介だ。ただの怖いはないでは済まないのです。純愛か、狂気か。

鳴かぬ蛍が身を焦がす――口にできない想いをある意味互いに持ち、それはいびつなれどもさてさてどうなるかの結末です。
一読は読了となること間違いなし。

★★ Very Good!!

ホラー苦手を公言する私が敢えてお邪魔したのは、同作者の超人気作品「おめでとう、俺は美少女に~」と全くジャンルもテイストも異なる作品を覗き見したかったからだ。
そんな期待に見事に応えてくれた作品だった。
まず冒頭からやられた。一人語りの静けさの中で粛々と進む「なにか」。そして張り巡らされた様々な伏線を拾うには、しっかりと読み込める読解力を求められる息苦しさを覚えるが、最後にそれは見事に昇華される。
言葉の一つ一つも存分に吟味されて仕上げられたのだと思うが、それ以上に、構成による読者の引き込みが上手いと思わず拍手したくなる。
これが人気作家たる所以なのだろう。
また、当初は恋愛ジャンルであったものをホラーに移行されたというのが納得できるまで、さらなる読み込みが必要だったが、読むたびに新たに見出せるものがある作品だった。奥が深い。
☆2つとしたのは、大変僭越ながら、気掛かりな点がひとつあったからだ。僅か数か所ではあるが、言葉の重複がもったいないと感じた。これだけの語彙力を持っておられる方なら、恐らく敢えて意図的になされたことかもしれないと思いつつ、読者の中にそう感じる奴も居たとお伝えすることで、プロへの道を驀進される作者様に些少なりともお役立て頂けたらとの老婆心である。お気に障ったら申し訳ありません。その際はどうか遠慮なく削除してください。