薄闇のなかで奏でられる、美しき魔とひとの、愛の物語

本編『最果ての、その先に』の作品世界の基となる神話、伝承の短編集です。
愚かで弱く、欲深な人間たちに対し、圧倒的な力をもつ天竜や聖魔、妖魔たち。両者の間に生まれた、悲しくも美しい異類婚姻譚が多いですが、最後の話は少し違い、術師を束ねる女王と彼女を護る戦士の、生死を超越した愛の物語となっています。
人と魔が分かたれる以前――薄暗がりに覆われた世界が、この物語の舞台ですが。その世界のさらに奥に存在する暗がり、情念といったものを感じさせます。また、この作者さまの描く魔物たちの、なまめかしく美しいことは、「妖艶」という言葉がふさわしいと思います。
 私は本編を読了してからこちらを拝読しましたが、そうすれば、作品の世界をより深く知ることが出来ます。また、こちらを先に読めば、神話、伝承と、本編のつながりをより理解できることでしょう。

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