タイトル通り桜にまつわる怪談です。全体的に言葉の言い回しが絶妙で恐怖を誘います。本文中に「貧相な桜の木は、枝ばかり伸びて全体に栄養が行き届いていないようだ」とお酒を飲んでいながら冷静に分析しているシーンがあるのですが、このシーンがあるからこそ、この後に主人公と同僚が見たものが決して、酒に酔ったための幻や見間違いではないことを引き立てているような気がしました。
怪談。ホラーとは違う、いや一緒にしてほしくない。これは怪談だ。日本人は『桜』をテーマにすれば世界一だと思う。自慢ではない。誇りだ。
桜の木の下には……、は有名なフレーズです。桜の幽玄な魅力。そして夜の桜の底知れない恐ろしさ。昔ばなしに寄せた、不思議な不思議な桜の魔法。あなたも読んで、慄然としてください。
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