ごめんなさい。レビューを綴るのが難しくて……
- ★ Good!
勝手ではありますが、告白させていただきます。
わたしは六月様の作品にレビューを綴らせていただこうとすると、なぜだか常になく悩んでしまうのです。この作品に限らず、六月様の書かれた作品は全て、です。
どうしてでしょう。
しばらく考えて、答えを見つけ出しました。
レビューを綴ろうとすると、どうしても六月様に対する恋文になってしまうのです。それで、なかなか言葉にできずに――
わたしがレビューを綴るときは、その作品の核のようなものを拾い上げ、それを中心にわたし好みの装飾を施して言葉にいたします。
心を込めて書かれた作品には物語の中に核が隠されておりまして、物語の中に入り込むように読むことでその核に触れる事が出来ます。一度読むだけでは捉えにくかった場合は、何度か読み返すことで浮かび上がってくるものです。
レビューで作品の内容をそのままお伝えしては読む面白さが失われてしまいますから、いつもは核を中心に暈かしを入れながら綴っております。
核とは作品の根っこ。
六月様の作品の核は、『六月様』でした。
『六月の本棚』はもとより、『玻璃の音*書房』も、作品中に登場するコリス君のご活躍を描いた『こりす書房』も、核に六月様がいらっしゃるのです。
好きな物全てを“大好き”で包み込めるくらい素直で優しくて、登場された方みんなを甘く描き出す柔らかさを持っていて。
ことのは一葉の手ざわりにも気を配って角を撫でる心遣い、読む方へ伝わって欲しいと願いが込められた言霊の熱さ。
形ある物をより楽しく見せる工夫と、視点に凝った描き方。
もっとも可愛らしいところは、形の無いものを形の持たせない本当の姿のままで紙面に載せようと奮闘なさるお姿です。それは、物書きの誰もが目指して挫折した道でしょう。
もっとも素晴らしいところは、形の無いものを形の持たせない本当の姿のままで言葉にしようなさって、その欠片を作品に写し出しているところです。
対象に真摯に向き合い、全霊で作品に向き合うお方。
そんな六月様のお心が、作品の全てに溶け込んでいるのです。
この核でレビューで綴ってしまったら、お読み下さった方にまるで恋文のようだと取られるではありませんか。
佳麓冬舞は様々な作品に対応できるようにとレビュアーを4名用意しておりますが、女性の借り身のわたしですら、この核を綴るのは恥ずかしく感じてしまいます。
万人に受けるように物語を書くとき、多くの方は自分を偽り、自分に足りない魅力を補完したキャラクターを作り上げます。作品の世界も同じく、いかに作者を隠せるかが焦点となるものです。それでも隠しきれなかった部分が、雑味として、個性として作品に深みを生むのだと思います。
でも六月様の作品には作者のお心が、探すまでもなく、すぐ表面で揺れているのです。そして、その世界は優しく居心地の良い空気を纏っているのです。
作品の雰囲気は、六月様がお持ちの雰囲気であり、お心の姿なのでしょうね。
そのような理由から、六月様の作品にレビューを綴るのが難しいのです。
それでもお伝えしたくて書き連ねた結果、このような形になってしまいました。
筆力が足りず、ごめんなさい。
心を溶かした色。
居心地の良さ。
六月様の作品を好きになった方ならきっと、作者様への恋文を綴れることでしょう。
友人Kとして佳麓冬舞が登場いたしますから、『わたしルール』により星は一つとさせていただきます。
ごめんなさいね。