この本棚に似つかわしい部屋が欲しい。

この「六月の本棚」が、ごくごく自然にもう何十年もそこにあったかのように思わせる部屋があって欲しい。あの薄緑とも碧ともつかない本棚に似つかわしい部屋が。

そしてその部屋に私は何度も訪れる。彼女の部屋に。窓の外を眺め、本棚から今日の一冊を取り出す。彼女のセレクションした珠玉の作品たちはみなスモーキートーンだ。桜色、萌黄色、縹色、それから彼女の好きな檸檬色。本棚の隣の椅子に腰を下ろす。外は雨がいいかな。生命に命を与える恵みの雨。そこには蒼い紫陽花が微笑んでいる。
そんな日を過ごしてみたい。この本と共に。

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