感覚と距離感が絶妙な恋愛小品

冒頭のチョコレートと蟹へのアレルギーの話が実感があって引き込まれて、そのまま一気に読みました。
そして「彼女は愛しているを言いすぎる」の言葉に何故か胸をつかれて。
ラストの「ばかだな」で唸りました。
あの決め台詞、ばしっと決まってた。
でも、それは台詞に頼ってのことではなくて、語り手の心情に共感ができたから。この作品は、とくに語り手の”変化”が見事に表現されていると思いました。私もこんなの書きたい。
三篇とも、ハッピーエンドとまでは行かなくても、語り手の何らかの決意を感じさせる終わり方で、爽やかさみたいなものを感じました。
とても面白く拝読させていただきました。
きっと、みんな誰かを愛しているんですねえ……。

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