しいたけ、取りましょうか。

作者 新樫 樹

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★★★ Excellent!!!

「今さらお互いが築き上げてきたものを捨てるなんてできないだろ」

恋を最優先にできない二人は、似たもの同士。
冷めた大人になったわけじゃなく、純粋なまま生きてきた少年少女です。

あなたがいないと困るんだ。
どうしようもなく、ほんとうに。
だから、そばにいてほしい。
そんな気持ちを込めて――「しいたけ食べてほしい」

二人の真ん中で、お鍋はくつくつと煮えはじめました。

★★ Very Good!!

実年齢は書いていませんが、何となく想像出来ます。

2人で生きる、2人で過ごす、2人で歩む・・・それが結婚と言うものに帰結するのがある意味で「普通」なのかもしれませんが、決してそれだけではない。

情熱的でもドラマティックでもないかもしれませんが、型にはまらない「お互いを思う気持ち」に心が震える、素敵な作品でした。

★★ Very Good!!

ほのぼのとした空気の中で描かれる恋人たちのお話。
2人で鍋をつついている。
落ち着ついた雰囲気の中で進む話は読者に心地よさを与えてくれる。
ただ、途中で心臓をつかまれるというか、はっとさせられる文章があった。そこには非情な現実が垣間見える。それが、

担当の患者さんが亡くなられたときに必ず行く猫カフェ。

という一文。
看護師の彼女は、日々死と直面する環境の中で生きている。
そんな彼女だからこそ、避難場所が必要で、今はそこに彼も一緒に住んでくれている。
果たして彼はそこにずっと住んでくれるつもりだろうか。
そこに住まわせておいて、本当にいいのだろうか。

最後の3行を読んで、なぜだか僕がほっとしました。

★★★ Excellent!!!

結婚がゴールであるとか人生の墓場だとか、そういう言葉はよく聞きますが、そうではないんだなと思わせられました。
隣にいて、苦手なしいたけを食べてもらって、夜勤明けにココアを入れるような、そんな関係がずっと続いていくような。この2人のような関係を気づくことが、結婚なんだろうなと。

オチも秀逸で、うまい。物語自体も、冬場に鍋をつつくような、ほっこりと温かい気持ちになれる、素敵なお話でした。

★★★ Excellent!!!

短くコンパクトにまとまっていて、その中でここまで穏やかかつ饒舌に愛を語るというのも中々難しい。恋愛小説というにはあまりに静かで短いものの、巧みな描写の中で浮き彫りにされてゆくお互いの感情が少しずつ現れてくるその様は落ち着いた大人同士の恋の理想形を見事に描き出している。
こんな穏やかで、優しい風が吹くような恋をしてみたいものだ。そう本気で思わせる筆致。小品ながら傑作である。

★★★ Excellent!!!

気の置けない馴染みのお店で、何気なく隣席に座るカップルに目をやりました。
二人はお鍋を注文したようです。出来上がったころに男性が女性に何かをつぶやき、女性は頬を少し赤らめて、はにかんだようにコクリと首を縦に……

そんな情景を巧く切り取り、決して押しつけがましくなく、さりげなく見せてくれる一品です。
特別な、非日常的な出来事ではないがゆえに親近感がわき、この物語の味付けに舌鼓を打つことができます。

タイトルが現在ではなく、未来を表していることに気づきました。

★★★ Excellent!!!

読み終えて、心がふんわり温かくなりました。ほかほかで美味しいものを身体に取り入れた時のように。

ほっとする、という感覚は、生きていく上で一番大切な感覚なのかもしれませんね。
ときめきも高揚も、長く続く性質のものではなく…少しずつ醒めていくもの。
辛い時も悩みの中にいても、側にいて静かに癒してくれる。お互いにそんな関係でいられる人の存在が、結局何よりも大切になるのかもしれません。

そんなことを、さりげなくじわっと感じさせてくれる…思わず微笑みがこぼれてしまう、温かい幸せに溢れた作品です。

★★★ Excellent!!!

タイトル見た瞬間、なぜ、私のしいたけ嫌いを
知ってるんですかーって、勝手に叫んでしまいたくなるくらい
もう、私にとっては、まるで 自分のものがたり。

子供の頃から めっちゃ苦手だから、
給食メニューの 材料名欄の しいたけに マーカーで印つけて
その日は 早めに並んで、せっせと ともだちの器に
みじん切りになって隠れようとしている しいさんを
一網打尽にする決意で スプーンで高速移動、してました。

でもね、こどもたちと 給食食べることになったら
大人の私は、何食わぬ顔で、食べちゃってるんですよ。
今でも ほんとはだめなのにね。だから、
私の相手は しいたけ受け取ってくれる人じゃないと だめ。

恋の数が少ない 不器用な二人の会話が 雰囲気あって
目を見て話すか、逸らしているか、ただそれだけで
相手の感情を 描き出す 新樫さんの文章が すごく好きだ。

そして、こんなプロポーズがあっても いいね。

★★★ Excellent!!!

この作者さんは期待を裏切りません。温かい読後感はピカイチです。そう、ちょうどこの作品に登場するお鍋のように心を温めてくれます。

甘い言葉を囁くわけじゃない。イチャイチャベタベタするわけでない。それでも伝わるお互いの想い。

こんな緩やかで温かい恋物語、理想ですね。

★★★ Excellent!!!

いくつか短編読ませていただきましたが、ここでまとめます。
とても雰囲気のある文章で、最初から世界・キャラクターに引き込まれます。短編小説はスタートがいいと、とても読みやすく感じるものです。物語とともにキャラクターの人生の一片を共有し、最後には何とも言えない読後感があります。
構成といいキャラクターといい、穏やかな気持ちで読めました。

★★ Very Good!!

しいたけというのは、よくある性的なアレの隠喩にされることが多いです。
まあ、ここに出てきたようにきのこが嫌いな人が多いのもあるのですが。

で、今回の話はそれに絡めた話かなと思うと、何ともいえないのですが、汚いほうのネタでクスッと笑わせつつ、よくあるきのこが嫌いに絡めた2重の意味で表現したお話でびっくりでした。

★★★ Excellent!!!

新樫さんの言葉選びにはいつも感嘆するが、この作品もまたその期待を全く裏切らない。 ぐつぐつと煮える鍋を挟んで向かい合う、相応の人生経験を積んだ二人が、相手を思い遣り過ぎて踏み出せなかった一歩を助けるしいたけ、いいなあ~ほんとに。
人生の酸いも甘いも噛分けた大人だからこその愛の場面にきゅんきゅん来ます。

どこかのポン酢メーカーのCMのシナリオに採用してくれないかしら。そしたらケース買いするのに♪ もちろん、新樫さんのサイン入りでね!

★★★ Excellent!!!

地味なテーマで心を動かす文章。ボクの目標でもあります。
それをサラリとやってのける、作者と作者の作品はスゴイです。
ストレスなく自然な流れで進むストーリー。そして、計ったように、期待を裏切らないハッピーエンド。一家に一台あればいい、文明の利器のようです。