ロニー!俺だ!右カウンターを打ってくれ!

インドネシアでジムを経営する老ボクサーと、そこに居候をしている日本から逃げ出してきたボクサー。日々、なんとなく暮らしている2人の元に、赤道を超えた日本から試合のオファーが。相手は売り出し中の期待の新人。傍から見ればどう見ても「噛ませ」としてのオファーを受け、2人のボクサーの止まっていた歯車が動き出す。

ボクシングを軸とした登場人物たちの交流や、インドネシア情勢を織り込んだ展開もさることながら、ボクシングの練習や試合における、理屈や狙いが印象に残りました。アホ丸出しな感想で恐縮ですが、「識者が難しそうなことを説明してくれて、それを読んで『へ~』『すごい』と思える話」、大好きなんです。

ともすれば「根性で殴り合い」というパッション溢れる面ばかりがクローズアップされがちな格闘技のお話ですが、そこまで辿り着く前提としての、技術や知識や理屈が読めて楽しかったです。その理屈通りにいかない身体や、相手の思惑のもどかしさ。読んでいて、いつのまにか応援していました。根性は技術の先にあるからこそ、燃えますよね。

そして、タイトル通りの右カウンター。これがですね、打つんですよ右カウンターを。いやあ、待っていました。すごく面白かったです。

情熱の溢れるお話を探している方であれば、是非。

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