柔から剛へ。そして柔らかく――文章にも生きる極意
- ★★★ Excellent!!!
読む前のイメージは、「スポ根」だった。しかし、読み始めてみると、非常にふわふわとした雰囲気で話が展開する。
これは予想と違うのかと思いきや、4話から別の空気が漂い始める。
空気がだんだんと引き締まる感触。
ピシッと「熱い」氷が、体を固めていくように物語が動いていく。
そして、クライマックスには、ふわふわととした雰囲気がどこにもなく、緊張が形になったようなシーンが続いていく。
まさに、柔から剛への物語展開。
――剛柔一体!
それを感じさせてくれる小説だ。
しかも、その緊張感も、エピローグで柔らかくひも解き、これからの主人公たちの未来を感じさせてくれる。
そのため、読後感も非常に良い。
戦闘シーンは、初めの方がたんぱくに感じるが、だんだんと熱が入ってくる。
また軽快なテンポのアクションシーンではなく、まるで詰将棋をやっているようなシーン表現が面白く、アクションシーンが苦手な人の参考になるかもしれない。
ちなみにシーザーくんという、現在ファンタジーとしての存在がユニークだった。