この話には「美」がある。
完成度の高い美しいプロットのマジカルディテクティブダンディストーリーだ。
まず、全体の構成バランスが非常に良くて、美しい起承転結がそこにある。
無理な展開はなく、美しく流れるプロットは引っかかるところがない。
またそれに伴う、伏線の張りと回収のタイミングと絶妙で美しい。
その中で動くキャラクターたちにもよどみがない。
とにかくすべてか整然とここにある。
そしてそれらを読みやすい文章で表現し、独特の雰囲気を醸している。
この雰囲気づくりが、非常にまたよい。
タイトルから読み取れる雰囲気が、そのまま本文の中に再現せさていて違和感が全くない。
近代的なアイテムも出てくるのだが、それらはすべて魔法道具に変換されている。
その変換は下手すればギャグなのではないかと思うものもあるのに、なぜか普通に受け入れられるのは作者の技量によるものなのだろう。
普通に書籍化されて本屋に並んでいても違和感がない作品だろう。
エンタメ小説好きにはぜひ読んでもらいたい作品である。
ごちそうさまでした!<(_ _)>
バトル、ミステリー、キャラクター性、世界観、非常に手堅くまとめられたハイブリッドファンタジーといった印象。
類似した作品を挙げられないではないが、無粋なことを書くのも私のポリシーに反するというものだ。
当然、オリジナリティーを獲得している今作品の魅力を述べてみよう。
何より、舞台となる都市アルムウォーレンがしっかりと構築されており、恐らく読者のほとんどが、ライトな感覚のワンランク上の魅力に引き込まれることだろう。
そして、人に歴史あり。
事件を発端とし、登場キャラクター達の過去と因縁が、収束していく様はマジックの種明かしとして、大変満足のいく仕上がりとなっている。
舞台装置は骨太だが、そこに生きる人々は軽妙に融け込んでいる。
この作風は、ジャンルを問わず多くの読者に門戸を開いていると言えよう。
面白かった!
ハイファンタジー×探偵ものの世界観が好きな私にとっては、最初から最後までその雰囲気にどっぷり浸からせてもらえる作風がとても良かったです。
舞台は多くの人々が行き交う水上都市。
主人公はさまざまなポリシーを掲げて紳士ぶるものの、どこか自堕落でお金に弱い私立探偵。
そんな彼が厄介な人々に振り回されながら、オンボロスクーターに乗って依頼のためにあちこちを走り回る。
……これだけで、ハイファンタジー好きな人はグッと来ませんか?
そんな中、さまざまに散りばめられた要素が結末に向けて繋がっていき、いつのまにか物語に引き込まれていきます。
ちなみに個人的な推しは主人公のエルメラルドですね。
大人げないお兄さんだけど、やるときはビシッと決めるところがかっこいい。
そして女に間違えられてたびたび災難な目に遭うところがなんだか憎めない。
彼が主人公であることが、この物語の面白さを一層引き立てていると思います。