概要
中央官庁の某機関という特殊な職場を舞台に、運命のパズルピースがひとつ揃うたびに、真面目に生きてきたはずの二人が一歩ずつ不適切な関係へと導かれていく様を、「カクテル言葉」と共にゆっくり描いてまいります。
この物語はフィクションです。実在する人物及び団体とは一切関係ありません。本文中に登場する組織名について、防衛省と自衛隊各幕僚監部以外はすべて架空のものです(話の主要舞台に似た実在機関がありますが、組織構成や建物配置などの設定はリアルとは大きく変えています)。
この物語は、社会倫理に反する行為を容
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!美しくもほろ苦い恋心が、カクテルと共にあなたを酔わせます。
ずっと好きでいて、いいですか
ご迷惑はかけません──
防衛省という特殊な職場の上司である日垣に秘かに想いを寄せていた美紗。
情報を扱う仕事柄、冷静沈着で厳しく本心を表さない日垣に初めは畏怖の念を抱く美紗でしたが、彼の素の人柄に触れるにつれ、家庭で得られなかった父性を求める気持ちがいつの間にかもっと特別なものに変わっていきます。
けれども、日垣には複雑な事情で赴任地に同行できない妻と子どもがあり、彼はその家族を大切にしているのです。
いつしか毎週金曜日、日垣の行きつけのバーでお酒を飲むことが定番になっていた二人ですが、日垣を思う気持ちと、日垣が大切にしているものを自分が壊してはいけないと思…続きを読む - ★★★ Excellent!!!好きでいる、ただそれだけがこんなにも苦しいなんて。
カクテル言葉に乗せて紡がれる、防衛省を舞台にした甘さ控えめ、ビターな大人の恋愛物語です。
ストーリーは、主人公の美紗がバーテンダーの征を相手に、終わってしまった恋を語っていく形で進みます。
しっとり落ち着いた文体なので、夜に読むのがおすすめです!
カクテルと防衛省という異色の取り合わせが、この作品の個性を引き立たせていますね。
美紗が働く職場の描写がかなり詳細で、どこまでが創作なの? と思わず考えてしまうほど。
そのためとてもリアリティがあり、まるで自分がその場に居合わせているように思えます。
恋愛小説ですが緊迫感のあるシーンが多めです。
美紗が日垣さんに惹かれるきっかけというのがまたシ…続きを読む - ★★ Very Good!!色とりどりのカクテルと共に語られる、大人の恋
衝撃的な『現在』のシーンから始まり、
主人公が『過去』の恋を語るという体裁で話が進んでいきます。
彼女が徐々に深みにはまっていく様子が、
執拗とも言える心理描写によって巧みに描かれています。
自衛隊という特殊な組織が舞台であるにも関わらず、
描写にはリアリティがあり、いわゆるお仕事ものとしても楽しめます。
仕事でもプライベートでも、主人公は様々な秘密を抱えることになり、
いつ周囲にばれるのかとどきどきさせられます。
章題になっている様々なカクテルは、
過去の出来事と結び付けられて効果的に使われています。
それぞれのカクテルがどのような物かは文中で説明されるため、
知識がなくても問題はあり…続きを読む - ★★★ Excellent!!!バーと防衛省、異色のカクテルが紡ぎ出す人間模様の超絶リアリティ!!
屋上で思い詰めていたところを若いバーテンダーに見咎められた女性。
彼女が店内で語り始めたのは、とある職場で思い人と過ごした日々の物語。
バーと防衛省、異色の組み合わせから生まれたカクテルは、ありありと現実を削り出す緻密な設定と筆致に支えられて、芳醇ながらも物悲しい味わいを醸しています。
ありふれた日常業務も、極秘の特務も、今このとき世界のどこかで繰り広げられていても全くおかしくないほどの信じがたいリアリティで描き出され、命を吹き込まれたキャラたちがそれぞれの生い立ち、主張、行動原理を以て自分の意志で動き回るこの作品は、まるで現実の投射のような趣です。
これだけのリアリティを与えると、キャ…続きを読む