読了後、憑き物が落ちる。けれど、腹の肉は落ちない。ファック。

落ちる。

とかくネガティブなイメージを持たれることのある言葉だが、使われ方によっては様々な色や形を持ち、ときには明るいイメージを与えることもある。

冒頭から婚約者に逃げられ、家具(カーテンまで!)を一晩で持ち逃げされるという理不尽な現実を叩きつけられた状態で、この物語は始まる。
落ち込む気分を吹き飛ばすように、あるとき登山に挑んだ主人公は、山頂で出会った1人の青年をきっかけにして、これまでの憑き物が落ちたように生き方を少しずつ変えていくのだが、この過程の見せ方が見事であると個人的には思った。
読んでいるこっちまで、無理をしなくていい、自分のペースでやればいいんだと気付かされるようで、爽やかな読了感を得られるのだ。

もちろん、思わずもう一度冒頭から読み直したくなるような、腑に落ちるラストも秀逸。いつから“落ちた”のか、なんて想像を巡らせてしまう。

え?何に落ちたかって?
言わせんな、恥ずかしい。

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