ある種、理想的中年おじさんっぽさがある。
豊かだし思ったことをそのままやれるし、物質的に満たされてた証拠が数々のものの名前から伺える。
と、その流れ自体がある種、中年おじさんを作るための材料のようなもので、頭からあらすじに至るまでの駆け巡る思考のラッシュは疲れた脳みそから絞り出されたような出来立てほやほやな感じだけれど、まだそれで完成したわけでは無い、完成までにはまだ時間が要る、もっともっと体感して経験して疲れてるってことを感情的に決壊するまでやり通す、その時、天使の翼の生えた中年おじさんが完成すると思うと、きみも中年おじさん、目指してみない?
なんつーか完全に奇才か鬼才に化かされたような読み口でした。一見して改行が詰まっていて読みにくい気もしますが、それすら文章のテンポの調整の意図か、読者に行間を読ませないための工夫にさえ思えてきます。
内容自体はおどけた調子で進んでいくのですが、その実は傷ついた人間の再生物語であり、とは言いつつ、あれよあれよと読み進む間に、読んでいるこっちも肩の力が抜けた感じがしてくる不思議な小説です。
現代社会に疲れた皆様に効く小説です。
ああ、うん、もちろん私も最後のオチに引っかかったよ! あんなの気付かんわ!w