最初は綺麗なだけの純文学。けれど物語が進むにつれて人間味を帯びていく

 配慮していますがネタバレも含まれていますので、お気をつけください。

 これは最後の一言を読んで、感じるための作品です。

 一話は世界描写も美しく、この目で見てみたいと素直に思えるほどです。けれど主人公には腹が立つし描写が多くて進んでいる感じもしなくて多少退屈さを覚えました。

 それでも読み進めていくと、主人公が人間という生き物を知っていく過程は割と楽しかったです。それに読者としての私も人間に振り回される高尚な生き物の姿を見て悦に浸ったり、自分の気持ちが分からない状況に同情を覚えたりしました。

 そしてもう一度書きますが、この作品を最初から最後までしっかりと読んだ人なら、最後の言葉は絶対、陳腐だとは思いません。ああ、その一言が欲しくて読んでいたのかもな、と思わせるくらい心にグッとくる言葉でした。

 でもこれの読み味は間違いなく現代アクションではないですよねー。ジャンルがネタバレに相当してしまうので仕方がないのかもしれませんが。


 

その他のおすすめレビュー

宝蟹 叫さんの他のおすすめレビュー5