剣戟の重さ伝わる戦闘と、そして人々が必死に抵抗する迫力が圧巻の一言!

 本作で描かれるのは、知恵あるゴブリンとそれらに襲撃されたとある街の人々による決死の攻防です。
 RPGなどで雑魚敵として用意されるゴブリンが? などと侮るなかれ。人よりも強靭な肉体を持つ連中が軍隊行動し、歴戦の戦士さながらの技量で迫る様子は恐怖の一言です。
 作中の描写から、ただのゴブリンの群れを簡単に壊滅できるような街の守備隊の人々が、ちょっと進化して知恵と技術を身に着け、そして優秀な指揮官を得たゴブリンに翻弄される絶望は息を呑みます。
 特に大将ゴブリンであるグランが人質を使う、などという人の優しさを逆手に取った行動は恐るべき脅威に思えました。
 それに加えて援軍としてやってきた人間兵器が早々に枷をつけられたときには「大丈夫か?」と不安になりもしましたが、その後の第一話で頼りなさげだった少年二人の活躍に胸が躍りました。
 ヘンリーのくじけない意志とオルフの覚悟、少年誌のようでありながらダークな部分もあるこの展開は、彼らの今後を夢想せずにはいられません。
 きれいなところで終わるんだな、と感激する反面、続きはないのか! と憤慨してしまう気持ちもあります。

 登場人物どころか読者も翻弄されるこの作品、おすすめです!

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