阿呆鳥を名乗る優麗なる詩人に喝采を!

 第18部まで読ませていただきました。

 ピンチに陥ったヘイルラント領とその女領主コーデリアを救ったのは、無双の英雄でも伝説の騎士でもなく、言葉を操り真実を唄いあげる詩人ウィル・アルバトロス。
 ハイファンタジーな世界には欠かせない、その世界の雰囲気を強く感じさせてくれる詩とその歌い手が主人公という、私にとってはなかなかに意表を突かれたと思ってしまう内容です。
 この詩人、英雄の活躍や貴婦人の美しさを唄ってまわるだけでなく、中立を保つエルフを味方につける妙手を浮かべたり、自ら剣を振るって戦ったりもする戦士でもあるのです。
 そんな彼の語り口は、軽妙にして嫌なところは感じられない。言葉遊びを用いるところは読んでいて楽しく、流石は詩人だ、と感心させられます。
 これからウィルの紡ぎだすであろう物語はどうなるのか、大変気になるところです。

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