小さくても勇敢な子供たちと少しひねていても優しい魔術師の行く末に期待

 学院に通う問題児アニーと、その幼馴染みであるフェイは、学院の備品を壊してしまったことからとある課題をこなさなければならなくなるのですが、その過程で出会ったのが、少しだけ言動に偏屈さ、いえ、素直じゃないところがみられる『便利屋』ロト。
 彼の助力によって課題を達成するために行動するのですが、ロトは珍しきかな、魔術師だったのです。
 彼の魔術による助けを貰いながら、しかし子供たちも助けられるだけではありません。
 アニーは十一歳ながら魔物をものともせず切り捨てられる戦士で、フェイも頭の回転の早さや機転で二人をサポートしていきます。
 こういう、頑張る子供とそれを文句をいいながらしっかり支えてくれる大人の取り合わせ、私は大好きです。
 このトリオもさることながら、やはり特筆すべきは頭までどっぷり浸かれる世界観でしょうか。
 ファンタジーチックな『戦士科』の存在する学院と、それをとりまく活気ある中世的な街並み。ふとした描写でその様子がありありと浮かび、気づけばアニーやフェイと共に街を歩いている感覚に見舞われてしまいました。

 古きよきハイファンタジーの真髄ともいうべき、空気感が素敵です。
 自信をもって、オススメできます!

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