歩き、交流し、広がっていく広大な世界にワクワクが止まらない

 主人公である『運び屋』ヴィクターが、都市アグアノスを拠点として野を越え山を越え、依頼された荷を人々や場所に紆余曲折を経て運んでいく物語です。
 単純かと思いきやそうではない。護衛や出会いによって繋がる、『縁』というものを強く感じさせられるのです。
 人々ってこうやって繋がっていくんだな、とか、こんな出会いも起きるんだ、という些細ながらも大事な部分を思い出させてくれました。
 そこにはきっとヴィクターのもつ豪運もあるのでしょうが、しかし物語はかくあるべし、と思わされます。
 ヴィクターを中心に広がる繋がりもさることながら、背景に描かれる世界観も秀逸です。
 文化があり、国があり、住まう土地があり、そしてそれらはゴブリンやオークといったファンタジーならではの種族にも存在している。そんな当たり前をやはり再認識させてくれました。
 その他にも加護といった要素もチラリと見受けられ、興味深くて仕方ありません。

 広大な世界とその世界を歩いて縁を広げるヴィクターの旅路、オススメです。

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