槙野　光

わたしは、たったひとりの家族を亡くした。 悲しみに暮れるわたしに、あなただけが寄り添ってくれた。 「――コバルトブルーの色だ」 あなたの色を、わたしは知りたい。 ＊クロノヒ…

ユヅルがバイト先の花屋で種をもらってきた。 これは、ただそれだけの春の話――。 ⭐︎このお話は、「きみの隣」の春掌編です。 ⭐︎本編とその他番外編読了後だとより楽しめますが、未…

曖昧な春の天気。曖昧な若葉の気持ち。私の心はいつも雨模様。 春と雨が紡ぐ青春恋愛ストーリー。 ねえ若葉。あなたの本当は、何ですか――？ ＊犀川　よう様主催、第二回さいかわ卯…

今年のホワイトデーは、金曜日だ。年度末に奇跡的に早く会社を出た榎本　武雄は、後輩の中川と肩を並べながら帰途につく。話題はホワイトデー、恋人のことだ。武雄は中川と言葉を交わしながら…

ひなまつりが終わって、私とママは雛人形を片付けた。でもパパは、私とママの目を盗んで雛人形を押し入れから取り出そうとして――。 「――朔くん、何してるの？」 ママの雷がパパに落…

とある春休みの午前零時。日本中の学生のメッセージアプリに突然、見知らぬ人の写真やトークが表示された。僅か十分で収束したそれを人々がサイバー攻撃だとか超常現象だとか嘘か本当か判別不…

あたしの幼なじみのベクトルは、美人で明るい宮沢さんに向いてる。あたしがあっくんの背中を視線で追いかけてると「永澤ってさ、ドMなの？」なんて隣のあいつが言ってきて。むかっとしながら…

弱くたって臆病だって、大切な人がいれば誰だってヒーローになれるから――。 ＊クロノヒョウさん主催、第63回目お題企画参加作品＊ ・お題『変身洗濯機』 ・2000文字以内で完結す…

キャベツは、まだまだ高級品。 ※先にお詫びしておきます。兎に角くだらないのが書きたくなって書きました。何も考えないで読めますが、カオスです。ちなみに普段はもう少しまともなのを書…

ユヅルはいつも笑っている。でもそれは、ユヅルにとっての自己防衛だ。見向きもしない両親。離れていく兄。告白してくれた先輩。好きになってくれた人を傷つけて、ユヅルは罪悪感と傷付いた心…

両親の不和と姉への依存。追いかけ続ける影のその先で、彼女が見つけたものとは――。 ※1/28 文章を一部修正しました。話の内容に影響はありません。 ⭐︎カクヨムコンテスト10短…

これは、失恋した女性の喪失と再生の物語。 ＊クロノヒョウさん主催『お題でカクコン挑戦企画④』参加作品＊ お題「曇り空とマスカルポーネ」 ・ジャンル指定「現代ドラマ」 ・400字…

タケオとユヅルは、十の年の差がある同性カップルだ。時の流れ、そして同性という壁。迷いながらも共に『今』を生き、ふたりは穏やかな日常を過ごしていた。 大晦日前夜、大晦日、そして元…

クリスマス。それは、特別なようで特別じゃない日。 ⭐︎こちらのお話は「きみの隣」の番外編ですが、本編を未読の方でもお読みいただけます。ご新規さまは、ひとつの短編作品としてお楽し…

僕はただ、助けて欲しかっただけなのに――。 ＊クロノヒョウさん主催『お題でカクコン挑戦企画③』参加作品＊ お題「迷路に潜む怪物」 ・ジャンル指定「ホラー」 ・400字以上1万…

私は何を手に入れて、何を失ったんだろう――。 ＊お題で執筆!! 短編創作、第一回お題「試験」参加作品＊　　 ＊カクヨムコンに参加している他作品はこちらから＊ https://k…

聖なる夜の、サンタと雪の妖精のお話。 ＊クロノヒョウさん主催『お題でカクコン挑戦企画②』参加作品＊ ・お題「聖なる夜のサンタの恋」 ・ジャンル指定「恋愛」or「ラブコメ」 ・4…

タケオとユヅルは、十の年の差がある同性カップルだ。ふたりの出逢いは、二年前の七夕。久しぶりに定時退社をしたタケオが、偶然通りがかった公園でユヅルを見つけたところから始まる。雨降る…

「ねえ、私の人形になってよ」 夏夜。驟雨の中、本屋の軒下に現れた綺麗な人は、俺にそう言った。 ＊三題噺＊ ・「雨」「人形」「本屋」 ・2000字以内

天真爛漫なわんこ系男性と真面目料理系男性の歳の差カップルが送る、日常の一幕。 ☆ハロウィンの為に書き下ろした、性描写一切なしのほのぼの同棲BL。 ☆本編は、こちらです。 http…

僕は北方に位置する離島に住んでいる。島には同い年の子どもがいなくて、僕はいつもひとりだった。でも、寂しくなんてないんだ。この島には宝物がいっぱいあったし、何よりユニ、君がいたから…

守は、漫画家志望の若者だ。しかしなかなか芽が出ず、とうとう心が折れた。そんな時、母から電話があり、守は生まれ育った町に降り立った。四年ぶりの帰省。祖父が営む蕎麦屋。両親が守の夢を…

大学生の男女の、切ない恋のお話。 ＊クロノヒョウさん主催、第60回「2000文字以内でお題に挑戦！」参加作品＊ ・2000文字以内で完結すること ・お題に沿った書き下ろしのみ …

『短歌の秋』募集に便乗して、短歌で猫とのお話を綴ってみました。 短歌は初めてに等しく、57577だけなるべく守って兎角自由に紡ぎました。要は、ただの息抜きです。 至らぬ点もあるか…

私はもう、見ないふりをする。 ＊クロノヒョウさん主催、第59回「2000文字以内でお題に挑戦！」参加作品＊ ・2000文字以内で完結すること ・お題に沿った書き下ろしのみ ・お…

コニーは十二歳の少年だ。王都に行っている父が一時帰宅をすると便りをもらい、母に頼まれ晩御飯の食材を買いに出かけた。しかしその帰り道、コニーは悪党に捕まってしまう。目覚めたコニーは…

妻も恋人もいない万年独り身の男は、休日になると駅前にあるコンビニでコーヒーを買い、近所の小ぢんまりとした公園に向かう。そこには斜向かいの平屋に住む老夫婦がいて、男は老夫婦と過ごす…

つい先日、僕は幼馴染の春と想いを通じ合わせた。でもまだ、春の口から直接「好き」って言われたことがない。仕方がないな。春が好きだから、今だけはまだ、許してあげる。 ○本作は、『不…

とある夏の日、娘の真希ちゃんと夫の明くんを置いて息を引き取ったわたし。意識だけの存在となったわたしは、時に烏の身体に入り、時に猫の身体に入り、やがてふたりの元へと辿り着く。 ○…

実家の整理にやってきた裕二。押入れを片づけていると奥から銀色のお菓子缶がでてきた。隠すようにしまわれていたそこには、一冊のアルバムが入っていて――。過去を語らず逝ってしまった母。…

幼馴染の男子高校生の、淡い恋の物語。 ※BLに初挑戦しました。 クロノヒョウさん主催、第57回目お題「夏に置いてきた写真」参加作品。 ・2000文字以内で完結すること ・お題に沿…

中学二年生の夏休み。私は母と父と家族旅行に出かけた。父の運転する車は海沿いを走る。そして私は、水平線を見る。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ＊クロノヒョウさん主催…

情事を終えた直後、彼女が言う。 「ねえ、海に行こう。朝陽を見に行こうよ」 そして俺は、車を走らせる。側から見たら普通の恋人同士だが、内実、俺と彼女の関係は歪だ。しかし今は、不完全…

高校の同窓会に向かう電車の中。わたしは同じニュースを繰り返し見ている。小さな液晶に映る男性アナウンサー。彼とわたしは高校の同級生だ。ふたりで話したのは、たった一度。高校二年生の夏…

冬と春は付き合っている。冬は春が好きで、春は冬を愛している。けれど春は明日、夢を追うため冬の元から去っていく。春は言う。 ――待たなくていいよ、冬。 そうして、冬の恋しい人は遠ざ…