隠井 迅

二〇二四年八月、みたび、このシーズンが訪れた。 そう「神田カレー街スタンプラリー」の開幕である。 二〇二二年（一二四店）・二〇二三年（一四二店）のシーズンにおいては、 二年連続…

　書き手の趣味の一つは〈神社仏閣巡り〉と〈御朱印集め〉である。 　例えば、仕事やライヴで出張・遠征した場合などに、その地の神社や寺を訪れているのだが、こうした体験を自作の中に織り…

半随筆・半小説の旅行記です。 旅の目的は物語の〈舞台探訪〉 小説、漫画、映画、テレビドラマ、アニメーション、ゲーム、歌などの虚構作品の舞台背景訪問の見聞録で、これを叩き台に作品分…

　

　『カクヨムコン９』も読者選考期間を終え、カクにおいても、ヨムにおいても、我々書き手にできる事は何もなくなりました。 　しかし、選考結果が出る三月まで、この宙吊り状態が続くのは、…

『第９回カクヨムWeb小説コンテスト』「現代ファンタジー」応募作品 「序章」「第壱（一）章」は、出雲を舞台にした、神話をテーマとする独立した中編としても読み得るテクストで 「第…

カレーの食べ歩きをしている書き手が、神田・神保町界隈をおいて実際に訪れた店と食したカレーを題材に縦横無尽に書き綴る随筆 〈コース料理〉のように最初から読んでゆくのも 気になった…

　赤塚眞（あかつか・まこと）は、今年の四月に中学に入学したばかりの新入生である。しかし、新学期そうそう、寝坊によって遅刻をしてしまう。折悪く、眞の中学では遅刻撲滅週間が実施されて…

　小学六年生の陸奥むつひは、平成六年六月六日六時六分に誕生したので、〈むつひ〉と名付けられた。しかし、ある日、アメリカの古いホラー映画を観た同級生から、六月六日が誕生日である事を…

　中学二年生の軽山稼頭央（かるやま・かずお）は身体が弱かった。そんな彼の楽しみは、筋トレ理論の独自研究で、放課後には教室からグランドの陸上部の練習を眺めながら独自のトレーニング・…

　葵は、打ち上げの後、ライヴの余韻に浸りたくなって深夜の武道館を訪れる。そして、満月と大きなタマネギの下で、葵はとある邂逅を果たしたのであった。

　アニソンのイヴェンターの冬人は、ライヴ・ハウスでの声出し可能なオルスタ・ライヴに初めて参加する事になった。感染症後にイヴェンターになった冬人は、ライヴ・ハウスの昔を知らない。そ…

　大学生の佐東冴若（さとう・さわか）は、〈おし〉のアニソンシンガーの秋の全国ツアーを〈全通〉する為の費用を稼ぎ出すために、夏休みの間ずっと、炎天下の中、着ぐるみショーのアルバイト…

　〈私〉は、大学入学を控え上京した甥を連れて、カレーを食べに神保町を訪れ、その後、二人で神保町の古本店巡りをした。その際に、私には見覚えのない路地に入った甥は、見知らぬ古本店の敷…

〈令和六年度版〉開講！ 参考 〈令和二年度版〉 二〇二〇年、世界的な感染症の流行のせいで、大学の講義は全てオンラインという未曽有の事態に陥った。だがここで、＜知＞の灯を消しては…

〈あらすじ〉 　高校二年生の河倉仁海（かわくら・ひとみ）は、夏休みの思い出作りとして参加したアニソン・フェスの終演後、父からの電話によって祖母が危篤になった事を知り、急ぎ父の実家…

　二〇一五年二月、パリを訪れた大学講師の有栖川哲人は、セーヌ河沿いの古書店で、紀元前一世紀にアレクサンドリア図書館から持ち出された巻子本を、古本屋の老店主から購入する。 　哲人は…

　令和五年三月九日は、佐藤冬人が最も〈おし〉ているアニソンシンガーの初めての武道館でのワンマン・ライヴの開催日で、冬人は、感染症のパンデミック下において、自分がアニソンのイヴェン…

KAC2022 05回目：「88歳」参加作品 　二〇一八年八月、小学六年生の「ぼく」は、夏休みに、お母さんの実家がある北海道の洞爺湖町を訪れた。洞爺では、七夕が〈八月七日〉に行わ…

「料理研究家リュウジ×角川食堂×カクヨム グルメ小説コンテスト」参加作品 　地元の山口県の岩国で、オンライン・ミーティングアプリで〈在宅〉受講をしている吉川美広（きっかわ・みひろ…

KAC2022 04回目：「お笑い／コメディ」参加作品 　フランス語の講義の終了後、文学少女然とした一人の女子学生が、十七世紀フランスの〈喜劇〉作家モリーエルの劇作『ル・ミザント…

KAC2022 03回目：「第六感」参加作品 　第二外国語のフランス語の講義の中で、講師の隠井迅は、パリのカルチエ・ラタンにあるクリュニー中世美術館に展示されている『貴婦人と一角…

KAC2022 02回目：「推し活」参加作品その５ 　大学生イヴェンターの佐藤秋人（兄）は、とある大学の学園祭に出演する〈最おし〉のミニ・ライヴのために、北海道を日帰りで訪れて…

KAC2022 02回目：「推し活」参加作品その４ 秋人と冬人のヲタク兄弟は、〈おし〉ているアニソン・アーティストが主題歌を担当しているアニメ作品『進化論遊戯』の舞台であるシブ…

KAC2022 02回目：「推し活」参加作品その３ 今、アニソンのイヴェンターをしている「私」が〈おし活〉をするキッカケは、三十年前の平成三年三月三日にデビューした、アイドル・…

KAC2022 02回目：「推し活」参加作品その２ アニソンのイヴェンターとして〈推し活〉をしている、東京都在住の佐藤秋人（兄）は、ライヴに参加するために広島を訪れていた。しか…

KAC2022 02回目：「推し活」参加作品その１ 東京でアニソンのイヴェンターとして〈推し活〉をしている佐藤冬人は、自分がイヴェンターになるキッカケとなった、二年前に感染症前…

『カクヨムWeb小説短編賞2021』「実話・エッセイ・体験談」中間選考通過作品 　二〇二Ｘ年、世界は〈感染症〉の猛威に見舞われた。 　とある大学講師・隠井迅は、この〈パンデミ…

『カクヨムWeb小説短編賞2021』「実話・エッセイ・体験談」中間選考通過作品 　〈VRA（拡張現実旅行）〉とは、筆者の造語で、タブレットでアニメを視聴しながら、現実空間を経巡…

KAC2021 10回目：「ゴール」参加作品 　大学の合格発表の日、それは一年間の努力のゴールの日であった。一浪中の櫻川潤一郎は、その目で自分の合格を確認するために、第一志望の大…

KAC2021 09回目「ソロ〇〇」参加作品 （『虚構の中の都市空間』概論） 　僕の趣味は物語の舞台背景になった地を巡る、＜舞台探訪＞である。その旅の仕方はちょっと独特で……。 …

KAC2021 08回目「尊い」参加作品（長編『推等と旅するヲタク達』のプロトタイプ作品） 　四十歳の誕生日を迎えた日、南森義武（なんもり・よしたけ）は、たまたまテレビから流れて…

KAC2021 07回目「21回目」参加作品 　中一の二十一素（つるいち・すなお）は、幼馴染の因美奈（ちなみ・みな）と一緒に、数学の素因数分解の宿題をすることになった。この日、素…

KAC2021 06回目「私と読者と仲間たち」参加作品 　大学の卒業式で嫌な事があったその翌日、新井萌果（あらい・もえか）は、自分の作品が最終選考まで残っているコンテストの受賞式…

KAC2021 05回目「スマホ」参加作品 　私は、自分の事務所のある新宿の雑居ビルのエレベーターで、若いカップルと乗り合わせた。その時、私が旧いスマフォを弄っているのを目にした…

KAC2021 04回目「『ホラー』or『ミステリー』」参加作品 　美土里丘高校の文芸部、別名、＜フィクティ部＞では、春＜合宿＞が催されていた。その強化合宿では、物語力を鍛え上げ…

KAC2021 03回目「直観」参加作品 　国語の時間、帰国子女の東勇樹（あずま・ゆうき）君は、国語担当の軽部先生に、漢字の学習なんて無意味だって食って掛かっていました。それで、…

KAC2021 02回目「走る」参加作品 　高校で陸上部に所属する＜ウチ＞らの目標は、四継で北関東大会に出場することだ。しかし、ここ数年、惜しいところで出場を逃していた。新たに…

KAC2021 01回目「おうち時間」参加作品 　緊急事態宣言下のある日、大学生、滝田壮（たきたそう）の下宿に小包が届けられる。それは、ＶＲとＡＲの両方で遊べる新たなゲームハー…