04-23M10 龍神教攻勢停止
龍神教が攻勢停止を決断した段階
キョウスケたちの砦に対する攻撃が頓挫したことにより、龍神教首脳は全体の攻勢も停止することを決定しました。
ベーグム師団に対しては優勢な状態を維持していましたが、ベーグム師団を丸ごと包囲するという目的はもはや不可能と判断されたわけです。
砦の攻略中止理由については、
自軍の損害が大きい、
魔導部隊の魔力が限界、
背後からクロスハウゼン・バフラヴィーの部隊が迫ってきている、
クテン・ジャニベグが捕虜となった、
ベーグム師団が立ち直りレトコウ伯爵軍も仲裁に入りつつあるため時間的余裕がない、
などとなります。
要するに、このまま攻勢を続けても目立った戦果は期待できないという話です。
クテン家からの援軍の一員であるジャニベグは、本来は後方の安全な位置で参加する予定でした。
最前線に出てしまい捕虜となったのは、龍神教幹部からすれば完全に想定外の話になります。
結果から見れば、龍神教はキョウスケたちの砦を無視すべきだったと言えます。
キョウスケ達は三五〇程度の小勢であり、砦から打って出る力は有りませんでした。
一個大隊程度で包囲だけして放置していれば良かったでしょう。
最初の攻撃で予定外の損耗を受け、引けなくなったのは有りますが、本気で攻めかかれば簡単に落とせると考えたのが間違いでした。
キョウスケ、タイジ、トゥルーミシュのような戦闘能力の高い兵士がこのような小勢に存在することは極めて稀ですので完全な結果論ですが。
レトコウ伯爵は龍神教とベーグム師団との戦いが膠着したのを見計らって仲裁として軍を進めました。
龍神教、ベーグム師団のどちらとも戦わず、盾を並べ、停戦を呼びかけつつ、両軍の間に割って入る形です。
これでも、レトコウ伯爵としては勇気のいる決断でしたが、結果的にはうまく行きました。
丁度、龍神教が攻勢を中止しようとしていたことが幸いしました。
ベーグム師団ですが、指揮を執るニフナレザーは反撃を画策しています。
レトコウ伯爵軍の前進で浮いた部隊を左翼から右翼に移し攻勢を開始しています。
ベーグム師団としてはこのままでは良い所が無い訳で、政治的に何らかの戦果を必要としているのがあります。
しかし、既にベーグム師団将兵の疲労は極限に達しており、前線指揮官の反応は芳しくありません。
龍神教も戦線を下げつつあり、攻勢はうまく行っていません。
龍神教の南方方面です。
最初にキョウスケ達を攻撃した二個大隊と、二回目の攻撃で東と南から攻撃して早々に撃退された二個大隊の合計四個大隊ですが、分断点隘路南側の森林の間を繋ぐように陣地線の構築を開始しています。
Hex3020,3019,3119,3218の辺りで、これは後退してくる自軍部隊を収容するためです。
隘路に構築しなかったのはキョウスケたちの砦からの攻撃範囲に入らないためです。
キョウスケの連隊司令部狙撃の結果とも言えます。
旧川床上龍神教の部隊は高地を降り、撤退を開始しています。
斜面を降りるだけなので登るよりははるかに楽なのですが、多くの負傷者が残置され、捕虜となりました。
クロスハウゼン・バフラヴィーの突進ですが、順調に推移しています。
旧川床上の龍神教部隊は分隊規模ですが、バフラヴィーが見せつける魔法で次々と降伏しています。
クロスハウゼン隊の将兵は、自軍が無傷で大した危険も無く捕虜多数という結果に興奮しています。
白龍川分岐点で睨み合っている諸侯軍と龍神教部隊はそのままです。