地図は帝国歴一〇七八年八月の『帝国』とその周辺を表します。
距離的地形的に単純化するためヘクスマップとして設定しました。
カナン惑星上の一部ですが、惑星上で最も人口が多く、文明が発展している地域となります。
場所的には北半球に位置し、地図南端の少し下に赤道が有ります。
方角は地図の上が北、右側が東、下が南、左が西となります。
縮尺
ヘクス間距離、一つのヘクスの中心からとなりのヘクスの中心までの距離は、五〇キロメートルに相当します。
埼玉県は東西が約一〇七キロ、南北が五九キロの楕円形に近い形ですので、この地図で表せばほぼ二ヘクスの大きさとなります。
セリガー共和国は大体フランスと同じぐらいの面積になります。
地形概論、
オレンジ色の線が海岸線になります。
オレンジ色で囲まれた陸上部分と、波のマークがある海とに大きく分かれます。
陸上について、ヘクスになにも書かれていない場合は『平地』を示します。
『砂漠』はそのヘクスの多くが乾燥地形であることを示しています。
『砂漠』はいわゆる『砂砂漠』や『岩砂漠』、『塩湖』などを含みます。
三角形の『山岳』マークがあるヘクスはヘクスの多くが山岳地系であることを示しています。
『山岳』マークは、そのヘクスの全てが山地であることを示すものではありません。
むしろヘクス内の全てが山地の方が少なく、一定の平地を含みます。
同様に、『平地』ヘクスであっても多少の山地を含むことは少なくありません。
河川は河川交通などに利用される主要な河川を示しています。
中小河川は省略されています。
街道は舗装された主要な道路を示しています。この世界では舗装された道路は希少であり、有用です。
都市については、城郭を持つ人口が多いなど主たる物のみ示しています。
森林や湿地は省略されています。
実際には、多くのヘクスに森林が有りますし、湿地も存在しています。
国家、
地図上には『帝国』の他に五個の『国家』が示されています。
『セリガー社会主義共和国連邦』、『ケイマン族領域』、『スラウフ族領域』、『フロンクハイト』、『センフルール』です。
『帝国』は実際には多くの諸侯の領邦の集まりであり、それぞれの領地で、人種も法律も微妙に異なります。
同様に『ケイマン族領域』はケイマン族が盟主となっている牙族部族集団であり、『スラウフ族領域』も同様です。
『帝国』は人族主体の国家群であり、『ケイマン族領域』、『スラウフ族領域』はそれぞれ牙族主体となります。
『セリガー社会主義共和国連邦』、『フロンクハイト』、『センフルール』は月の民が主導していますが人族や牙族も多数居住しています。
人口比率では、月の民は自分たちの国においても少数派です。
上記『国家』の領域に含まれない地域は、中小国家や、特定の国家に所属しない、あるいは政府の存在しない地域になります。
山岳
色によって山岳高度が分けられています。
二〇〇〇メートル以上、三〇〇〇メートル以上という表記は、そのヘクス内の最高峰がその高さであることを示しています。
区分分けされていますので、黄色い山岳マークは、ヘクス内の最高峰が三〇〇〇メートル以上五〇〇〇メートル以下であることを示しています。
一般に、高い山の有るヘクスの方がより多くの山地と山岳を含み、より険しい地形条件になっています。
ですが、必ずそうだとは限りません。
例外は多々あります。
砂漠
有体に言って、降水量の少ない乾燥地域です。
同じ砂漠でもヘクスによって状況は変わり、極めて乾燥した人口をほとんど含まないヘクスから、オアシスやそれなりの降水量のヘクスもあります。
帝国ではゴルダナ地区北方に位置するムス砂漠が有名です。
ムス砂漠内のオアシス都市ムスルーストを中心に交易路が幾つか存在し、小規模ながら交易が行われています。
街道
地図上の街道の大半は、第一帝政期に帝国により敷設されました。
魔法で作成された人工タイルで舗装されています。
人工タイルは魔法で土を圧縮して作られたもので。対辺一〇センチほどの正六角形で厚さは三〇センチほどになります。
極めて厚いタイル、というかブロックにより舗装されているため、敷設時には千年道路などと言われました。
現在の道路は古に作られたものが補修されつつ継続使用されている物です。
補修は近隣の諸侯や国家で行われているため、地域により街道の状況は様々です。
一級街道と二級街道の差異は主としてその幅員です。
一級街道は幅員九メートルで二級街道は幅員五メートルです。
しかしながら、維持の悪い所では実質かなり狭くなっています。
街道の無いヘクスに道が無いという訳ではありませんが、都市の周囲を除けば、比較的良い道路でも幅員は三メートル程度であり、凹凸も厳しい状況です。
街道は可能な限り直線化されており、このため平地から平地へ街道を使用して移動した場合の実質移動距離は、六〇キロ程度になります。
山岳ヘクスでは街道経由でも一五〇~二〇〇キロの移動距離になります。
これが街道を経由しない場合は平地から平地でも一〇〇~一五〇キロ、山間部では五〇〇キロを超えることもあります。
見かけ上と実際の距離の相違
簡略化明確化のためヘクスマップにしていますが、地図の表現上の問題とヘクスの規格化の問題で、時に地図上の見かけの距離と現実の距離が乖離する場合が有ります。
特に山岳部ではそれが大きくなります。
代表的な例として、カゲシン(ヘクス3020)とカゲクロ(ヘクス3121)、カゲサト(ヘクス2920)は隣のヘクスですので、カゲシンからカゲクロ、あるいはカゲサトまではそれぞれ一ヘクス、直線で五〇キロの距離となります。しかしながら実際には、カゲシンは山脈の東側にあり、カゲサトは西側に位置します。
カゲシンからカゲクロは直線距離で二〇キロほど、実際の移動距離も変わりません。
対してカゲシンからカゲサトは直線距離で約七〇キロ、実際の移動距離は、山岳部としては極めて整備された街道があるにも拘らず、一五〇キロになります。
ちなみに、カゲシン~カゲサトの街道は、カゲシンが事実上の首都となってから敷設された帝国内で最も新しい街道になります。
都市
カナンでは住民インフラの問題で、都市は巨大化しない傾向にあります。
域内で一〇万を超える人口を有する都市はカゲシンだけです。
一万人を超える都市も数えるほどしかありません。
一万人を超える都市はほぼ全て城壁を持った城壁都市です。
逆に一万人以下の都市や町は無数にあります。
一万人以下の都市も幾つか地図上に記載されていますが、これは物語上で登場した、あるいは今後登場するであろう都市や町です。
実際には帝国内の平地ヘクスのほぼ全てに一万人以下の都市や町が複数存在しています。
帝国内の、ゴルダナ地区(帝国中央部)やゲインフルール地区(帝国西部)では、平地ヘクス一つ当たりの人口は八万人前後となります。
アナトリス地区(帝国東部)では六万人前後、セトリア地区(帝国北東部)では四万人前後です。
帝国内の総人口は三千万を超えるとされます。
ちなみに帝国内には帝国戸籍の無い住民が多数存在しており、帝国戸籍がある税金を払っている住民は二千万~二千五百万とされます。
一万人以下の町で城壁を持つ物もありますが、そう多くは有りません。
河川
地図上の河川は河川交通に利用されるような主要河川です。
より小さい、あるいは細い川はヘクス上に無数にある物と考えてください。
河川密度としては、ゲインフルール地区(帝国西部)で多く、アナトリス地区(帝国東部)では少ない傾向にあります。
ゴルダナ地区(帝国中央部)はその中間です。
中世的文明の常として河川交通が発達しており、重要な交通手段となっています。
特に物資の輸送では河川交通の比率が高くなります。
河川交通では喫水の浅い、バイキングのロングシップに近い形式の船、通称ダック船が良く利用されています。
この形式の船で海上にも出ていますが、海上交通では喫水の深い大型船の比率が高くなります。
河川と都市
都市はしばしば主要河川の渡河点に建設されます。
ですので、河川の両側に広がっている場合が少なくありません。
勿論、片側だけの場合も有ります。
クテン(旧テルミナス、ヘクス2421)や、レトコウ(ヘクス2021)はゴルダナ河の中州を中心に発展した都市です。
ゴルデッジ(ヘクス1817)はゴルダナ河渡河点を見下ろす丘陵に位置しています。
帝国内諸侯
現在の帝国は『マリセア教導国』の本山である『カゲシン』Hex3020を事実上の首都としています。
第三帝政(アナトリス帝国)時代の有力諸侯が七諸侯としてそのまま残っており、カゲシンと共に帝国の骨格を形作っています。
公爵家
ボルドホン Hex1319、
トエナ Hex2715、
ウィントップ Hex3413、
侯爵家
ゴルデッジ Hex1817、
クテン(テルミナス) Hex2421、
アナトリス Hex3023、
シュマリナ Hex3721、
以上が『七諸侯』と呼ばれる家です。
これらの家は、カゲシン宗家に正夫人を出す家でもあります。
十数年前にシュマリナ侯爵家は事実上断絶しており、数年前に現宗主弟が養子として再興しています。